飲酒は初対面の人に良い印象を与える?それとも最悪な印象を与えてしまう?

デートや合コン、大切な接待などで、面識のない人とお酒を飲む機会があるかもしれません。初対面で適量のお酒を飲んだ人とお酒を飲まなかった人で、相手にどのような印象を与えるのかを明らかにした研究があります。そこで今回は、適量のお酒を飲むことで、初対面の人にどのような印象を与えるのかを真相をご紹介します!

今回、ご紹介する研究は、2019年に発表された「Self-Expression While Drinking Alcohol: Alcohol Influences Personality Expression During First Impressions」です。この研究では、適量のアルコールを飲むことで、初対面の人に自分を「正確に」かつ「好印象」に表現することができているのかということを720名(21〜28歳の男女)を対象に研究を行いました。

最初に、これまで明らかにされてきた「飲酒」と「初対面での印象」についてご紹介しましょう。

初対面でも、短時間で正確に人を判断できる?

1992年にハーバード大学のAmbady氏 と Rosenthal氏によって発表された「a thin-slices」という言葉があります。この言葉は、簡単にいうと「短時間で決断や結論に至る」ことです。

上記の研究では、5分未満での行動観察をした結果、少ない情報にも関わらず、驚くほど、正確な判断に至ったことが明らかにされました。要するに、短い時間で集めた限られた情報にも関わらず、人は、正確な判断ができるということを明らかにしたのです。

このことから、相手が持つファーストインプレッション(第一印象)が正確になり得ることにもつながります。

POINT5分未満という限られた時間でも、驚くほど正確な判断や結論に至る。

飲酒がもたらす「相手」への良い影響

これまでの「飲酒」と「人間関係」の様々な研究では、多くの飲酒の利点が明らかにされてきました。

◆ アルコールがもたらす「一体感」

これまでの研究では、アルコールは、一体感を持たせるような「潤滑油」としての役割が非常に大きいと言われてきました。その結果ではないと思いますが、会社での「飲み会」などが、アルコールを「潤滑油」として考えた催しなのかもしれません。

◆ お酒で「愛される存在」に?

また、アルコールには、一緒にいる人に愛されやすくなるようなお手本となる好感が持てる行動へと導いてくれるような効果も取り上げられています。

このように、例えば、自己開示がしやすくなったり、親しみやすくなったりと、コミュニケーションを取る上で、確かに、アルコールの存在は非常に大きいものと言えます。(ただし、「泥酔」は逆効果なので、飲酒は程々に。)

POINTアルコールは、「場の一体感」を高め、「愛される存在」になるチャンスも与えてくれる

お酒が与える初対面の人の印象とは?

今回の研究では、お酒が初対面の人に与える印象を題材にしています。その研究の概要をご紹介します。

研究の目的

今回ご紹介する研究では、「お酒を飲むことで、いい性格的な面をより多く受け取ってもらえたり、また事前に報告しておいた自分の特徴的な性格を正確に伝えることができているか」を目的として実施されました。

彼ら研究者たちの研究前に立てた仮説は、「お酒を飲むことで、いい性格的な面をより表現することができていて、かつそれを正確に受け取ってもらえることができている」のではないかと考えていました。

というのも、似たような実験を2012年に、Sayette氏とその同僚が、行っており、お酒を飲んだグループには、「笑顔」が多く、「人が嫌がるようなネガティブな影響」を与えることが少なかったという結果を明らかにしていたからです。

またこの研究では、飲酒グループは、飲酒していないグループに比べて、会話が弾み、他人との社会的な絆を感じるようになっていたとも述べています。

このことから、今回の研究の研究者たちも、上記の仮説を立てたようです。そして、Sayette氏の研究と今回の研究で異なる点は、今回は、被験者の状況を隔離された部屋で、「素面な人(7名)」がどのようにその状況を判断するのかを明らかにした点です。

では、どのように研究が行われたのでしょうか?

参加者とオブザーバーの概要

参加者の概要参加者数:720名(男:360名、女:360名)
人種:白人(83%) 黒人(11%) アジア系(1%) ラテン系(2.5%)
年齢:21〜28歳
※面識のある人がいないことは確認済

この720名を3つのグループに分けました。それぞれに、「お酒を飲んでもらうグループ」と「お酒であると伝えられて『ノンアルコール』を飲むグループ(以下:プラシーボグループと省略)」そして「ノンアルコールを飲むグループ」と位置付けます。

また、参加者と隔離した部屋で、参加者の性格を評価(判断)するオブザーバー(観察する人)については下記の通りです。

オブザーバーの概要人数:7名(女:6名、男:1名)
年齢:19〜22歳
人種:東アジア系(2名)、東南アジア系(1名)、白人(4名)

研究方法

研究のプロセス1.参加者は、ラボ到着後、性格についての質問シート(60項目)に記入
2.他の参加者と面識がないことを確認
3.各グループに分かれ、提供された飲み物を飲みながら、36分間フリートークを続ける
(なお、フリートーク中は、カメラにて撮影)【参加者への必須事項】
・必ず、席に座って過ごすこと
・自分の酔っている状態や手にしている飲み物について話してはならない

また、参加者に記入してもらう自身の性格について記入するシートにも下記のような特徴があります。

質問シート・合計60項目の質問
・NEO-Five Factor Iventory(通称FFI)を使用する
・回答の選択肢は、0(かなり違う)〜4(全くその通り)
・研究後、この質問とオブザーバーによる評価・判断を照らし合わせる

研究で利用する飲み物

3つのグループに飲んでもらう飲み物についても念の為、ご紹介しておきましょう。

◆ アルコールグループ

(商品:100 proof vodka)画像クリックでamazonへ

サントリーから発売されている「100 proof vodka」を使用しています。このウォッカは、スッキリとしていて、割り材を使って、「モスコミュール」や「スクリュードライバー」などで楽しむのに、おすすめです!

研究では、「100 proof vodka」を1に対して、「クランベリージュース」を3.5の割合で、割っています。また、男性は、「0.82g/kg」、女性は、「0.74g/kg」のアルコール量となるようにしています。36分間で、血中アルコール濃度が最大0.06%になるようにしているそうです。

◆ プラシーボグループ

このグループには、「提供される飲み物は、お酒である」ことを伝えて、アルコールを飲むグループ同様に、トニックウォーターの入ったウォッカのラベルが貼られているボトルを使って、グラスにトニックウォーターを注ぎ、クランベリージュースで割りました。

なお、アルコールであることを信じやすいようにするために、グラスにウォッカを塗り、香りをつけるようにもしました。

◆ ノンアルコールグループ

事前に、ノンアルコール(クランベリージュース)であることが伝えられています。

なお、これらのグループに与えられた飲み物は、12分でコップの1/3が注がれることになっており、一定のペースで飲むように促されています。

オブザーバーの観察方法

7名のオブザーバーは、各グループを36分間撮影したビデオを観賞します。しかし、そのビデオは、トーク時間の最後3分間のみとなっており、残りの33分間は、見ることが出来ません。

また、隔離された個室で、スクリーンに映し出されるフリートーク中の映像を、ヘッドホンを使用しながら見ます。なお、オブザーバーには、参加者の飲酒状況などは伏せられており、他のオブザーバーとのビデオについての議論も禁止されています。

初対面での飲酒は印象が良くなる?!

◆ 研究結果①

 All conditionsAlcoholControlControl versus alcoholPlaceboPlacebo versus alcoholPlacebo versus control
TraitM (SD)M (SD)M (SD)d [95% CI]M (SD)d [95% CI]d [95% CI]
Extraversion3.29 (.49)3.37 (.47)3.28 (.48)−1.63** [−2.71, –0.56]3.22 (.52)−2.80*** [–3.87, −1.73]−1.17* [−2.24, –0.10]
Neuroticism2.78 (.33)2.77 (.33)2.77 (.32)−0.12 [–0.48, 0.24]2.79 (.34)0.39* [0.03, 0.75]0.51** [0.15, 0.87]
Agreeableness2.79 (.44)2.79 (.43)2.79 (.45)0.01 [–0.13, 0.14]2.79 (.44)−0.003 [–0.14, 0.13]0.01 [–0.13, 0.14]
Conscientiousness3.30 (.42)3.30 (.43)3.30 (.42)0.10 [–0.78, 0.98]3.31 (.41)0.20 [–0.68, 1.08]0.10 [–0.78, 0.98]
Openness2.87 (.46)2.88 (.47)2.87 (.45)−0.10 [–0.43, 0.23]2.86 (.46)−0.26 [–0.59, 0.07]0.15 [–0.48, 0.18]
*p < .05. **p < .01. ***p < .001.

上記の表は、この研究の数値を明らかにしたものです。お酒を飲んだグループでは、お酒を飲んでいないグループ(プラシーボ&ノンアルコールを飲んだ2つのグループ)に比べて、より外向的(extraversion)であるという傾向になりました。

また、お酒を飲んだグループとプラシーボグループを比較したところ、前者の方が、より神経質さ(Neuroticism)が少ないという指標も明らかになりました。

POINT・飲酒したグループは、他のグループに比べて、外向的であると認識される傾向にある。
・飲酒したグループは、プラシーボグループに比べて、神経質と見られにくい。

◆ 研究結果②

 All conditionsAlcoholControlControl versus alcoholPlaceboPlacebo versus alcoholPlacebo versus control
Traitb (SE)b (SE)b (SE)d [95% CI]b (SE)d [95% CI]d [95% CI]
All traits.53*** (.093).59*** (.094).54*** (.094)−0.23* [–0.43, –0.03].47*** (.094)−0.46*** [–0.66, –0.26]−0.23* [–0.44, –0.03]
Extraversion.25** (.078).40*** (.039).20* (.086)−0.89*** [−1.43, –0.37].15† (.086)−1.08*** [−1.61, –0.55]−0.18 [–0.72, 0.35]
Neuroticism.45*** (.123).51*** (.129).43*** (.129)−0.35** [–0.62, –0.09].42** (.129)−0.41** [–0.68, –0.15]−0.06 [–0.33, 0.20]
Agreeableness.90*** (.133).99*** (.134).89*** (.134)−0.44** [–0.74, –0.14].84*** (.134)−0.68*** [–0.98, –0.39]−0.25 [–0.54, 0.05]
Conscientiousness.63** (.200).62** (.205) .68*** (.203)0.30 [–0.21, 0.80].59** (.203)−0.15 [–0.66, 0.36]−0.45 [–0.96, 0.06]
Openness.41** (.125).45*** (.127) .42*** (.127)−0.13 [–0.52, 0.26] .36** (.127)−0.43* [–0.82, –0.04]0.30 [–0.69, 0.09]
† =p < .10. *p < .05. **p < .01. ***p < .001.

次の研究結果では、研究期間中の行動の「規範性」について取り上げています。そもそも規範性とは、基準となるような望ましい行動や判断のことを指します。

ノンアルコールを飲んでいたグループに比べて、お酒を飲んでいたグループの方が、外向性(extraversion)と神経質さ(Neuroticism)、そして同意性(agreeableness)で、より規範性が高いという結果が出ました。

また、プラシーボグループに比べて、外向性(extraversion)と神経質さ(Neuroticism)、同意性(agreeableness)、寛大さ(openness)で、より規範性が高いという結果が出ました。

上記のことからも、お酒を飲まなかった人に比べて、お酒を飲んだ人の方が、好印象に見られる傾向にあるということが言えます。

POINTお酒を飲んだ方が、やっぱり好印象に見られやすい!

◆ 研究結果③

 All conditionsAlcoholControlControl versus alcoholPlaceboPlacebo versus alcoholPlacebo versus control
Traitb (SE)b (SE)b (SE)d [95% CI]b (SE)d [95% CI]d [95% CI]
All traits.04*** (.008).04*** (.012).04*** (.012)−0.04 [–0.25, 0.17].04** (.012)−0.02 [–0.23, 0.19]0.02 [–0.19, 0.23]
Extraversion.08*** (.021).05 (.036).03 (.036)−0.15 [–0.82, 0.51].15*** (.036)0.69* [0.20, 1.38]0.88** [0.21, 1.54]
Neuroticism.03** (.009).03* (.012).02† (.012)−0.05 [–0.23, 0.13].03** (.012)0.04 [–0.14, 0.22]0.09 [–0.09, 0.27]
Agreeableness.03* (.012).02 (.019).06*** (.019)0.25 [–0.07, 0.60]−.01 (.019)−0.19 [–0.54, 0.14]−0.47** [–0.80, –0.13]
Conscientiousness.07*** (.017).09** (.028).06* (.028)−0.18 [–0.72, 0.34].05† (.028)−0.24 [–0.78, 0.27]−0.07 [–0.60, 0.46]
Openness.05** (.017).05* (.020).05* (.020)0.004 [–0.26, –0.27].04* (.020)−0.03 [–0.30, 0.23]−0.04 [–0.30, 0.23]
† =p < .10. *p < .05. **p < .01. ***p < .001.

適度な飲酒が与える「正確性」への影響は、ほぼ少ないということがわかってきました。特に、神経質さ(Neuroticism)や真面目さ(conscientiousness)、寛大さ(openness)の正確性が高いことがわかりました。

しかし、外向性(extraversion)に関しては、プラシーボグループと比較して、お酒を飲んだグループの正確性は低いという結果となりました。これは、おそらくですが、お酒を飲んだことにより、より外向性が増したことで、本来の外向性以上のパフォーマンスとなり、本来の性格と照らし合わせた時に、正確性が低いという結果になったと考えられます。

POINT・お酒を飲むことで、「神経質さ」や「真面目さ」、「寛大さ」の受け取られた正確性は高い
・お酒を飲むことで、「外向性」の正確性は低くなった。

この研究から考えたいこととは?

◆ 外向性を発揮するなら「お酒」はおすすめ

上記の研究結果で共通して、出てくるのが「外向性(extraversion)」です。研究結果1では、お酒を飲むと、外向性が高まる傾向にあることがわかり、研究結果2では、それが、規範性が高い(=望ましい行動)であると評価されています。

また、一方で、正確性が低い結果となっていることから、本来の姿以上に、外向性が増していることとも考えることが出来ます。このことから、自分を良く見せたいという人にとっては、適度なお酒は、非常に有効なのかもしれませんね。

◆ お酒は初対面の相手との架け橋になる?!

初対面の相手と仲良くしたい時、相手の話に「頷いたり」、「反応する」ことは非常に重要です。研究結果②から、ノンアルコールとプラシーボグループよりも「同調性」が高い結果となったことから、お酒を飲むことで、相手への理解をより表現できるようです。

これは、個人的な考えではあるんですが、アルコールが入っていない素面時は、論理的な思考ができるので、相手の話している内容を理解し、自分の考えと照らし合わせ、両者の「違い」を指摘することが出来てしまうのかなと思います。

お酒を飲むことで、相手への理解を示しやすくなるということも初対面の人との関係性を作っていく上で、大切なことの一つかもしれません。

◆ この研究は、あくまでも「適量」の飲酒が対象

勘違いしてはいけないのが、あくまでもこの研究は、適度な飲酒を対象としていることです。飲みすぎてしまい、酔いが過ぎるのは、印象は悪くなってしまうことも増えると思いますので、注意してください!

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

コメントする

*
*
* (公開されません)