飲酒が血糖値の上昇を抑えてくれる理由とは?

様々な研究で、食事中の飲酒が、食後の血糖値を上げにくくしてくれるという結果が発表されています。血糖値の急激な上昇は、血管へのダメージだけでなく、肥満にも繋がることが明らかにされていますので、お酒が好きな人で、ダイエットに挑戦したい人や食後にすぐに血糖値が上がってしまい眠気に悩んでいる人におすすめです!

急激な血糖値の上昇が引き起こす問題とは?

血糖値の上昇のメカニズム

食事をした後、血糖値が上がるのは、必然的に起こることです。食事で摂取されたブドウ糖は、腸で吸収されて血液を循環します。その過程で、膵臓から出されるインスリンによって、肝臓や筋肉などに取り込まれます。

気をつけておきたい「血糖値スパイク」

しかし、インスリンの分泌が遅れたり、分泌量が少なかったり、血糖値を抑える働きが弱かったりすることで、食後の血糖値が急激に上昇し、その後急激に下降するという血糖値スパイク(食後高血糖)になっている人も多くいるようです。

これは、糖尿病の初期症状や糖尿病に繋がる恐れがあるので、非常に注意しなければなりません。

急激な血糖値上昇で引き起こされる問題とは?

1.肥満

過剰な糖分を摂取すると血糖値の上昇だけでなく、肝臓が糖分をこれ以上貯蔵できない状態になってしまいます。そうすると糖分が余ってしまい、中性脂肪に変化し、脂肪組織として蓄積されてしまうことで、肥満に繋がりやすくなってしまいます。

2.がんの発症リスクが高まる

急激な血糖値の上昇と下降により、活性酸素の発生を促進させてしまいます。活性酸素は、がんの発症リスクを高めてしまうことも明らかにされていますので、急激な血糖値の上昇をしないような食事の工夫は必要です。

余談にはなりますが、活性酸素を抗酸化してくれる「陶陶酒(とうとうしゅ)」があります。この陶陶酒には、抗酸化物質である「スカベンチャー」が含まれています。この陶陶酒は、生薬とマムシ成分で作られており、江戸時代から健康酒として飲まれてきたので、活性酸素対策にはおすすめです!

万病のもと「活性酸素」を抗酸化する「陶陶酒」の力とは?

3.血管系疾患の発症リスクが高まる

2.の同様に、急激な血糖値の上昇と下降で活性酸素が発生することで、血管に酸化ストレスを与えてしまい、血管をボロボロにさせてしまい、動脈硬化を引き起こしてしまいます。またその結果、心筋梗塞や脳卒中などの血管系疾患の発症リスクも高まってしまいます。

4.アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まる

これまで、糖尿病はアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めてしまうことは明らかにされてきましたが、近年では、血糖値スパイク(食後高血糖)もその原因になることがわかってきました。

急激な血糖値の上昇の問題・肥満になりやすい
・癌の発症リスクが高くなる
・血管系疾患の発症リスクが高くなる
・アルツハイマー方認知症の発症リスクが高くなる

飲酒は血糖値の上昇を抑える

そんな肥満や疾患のリスクが高まってしまう血糖値の上昇を「飲酒が抑える」という画期的な研究が発表されました。

オーストラリアのブランドミラー氏を中心とした研究グループが、2007年に「Effect of alcoholic beverages on postprandial glycemia and insulinemia in lean,young,healthy adults」の中で、「飲酒は、血糖値を上げにくくする」ということを発表したんです。

特に、食事中に適量を飲酒することで、食後高血糖を抑えることができることも明らかとなり、飲酒と血糖値の相関関係に、非常に注目が集まりました。

それでは、ブランドミラー氏の飲酒と血糖値についての研究について、詳しくご紹介していきましょう。

研究実験の被験者について

被験者は、主に、シドニー大学の広告を通じて採用されました。被験者に選ばれる条件としては、「健康で、非喫煙者である」とされています。また、被験者から除外する基準も設けられており、「1.二型糖尿病に罹っている親族がいる場合」と「2.胃腸の病に罹患したことがある場合」としました。

では、具体的な、被験者データを下記でご紹介しましょう。

被験者情報
【研究実験1】
人数:10名(男性:7名、女性:3名)※平均年齢:29歳(年齢幅:21〜46歳)
平均BMI:25
【研究実験2】
人数:10名(男性:5名、女性5名)※平均年齢:23歳(19〜26歳)
平均BMI:22
【研究実験3】
人数:18名(男性:8名、女性:10名)※平均年齢:22歳(22〜32歳)
平均BMI:22.3

 

各研究実験の詳細

ブランドミラー氏の研究実験は、合計で3つあります。その3つそれぞれをご紹介していきます。

研究実験1

研究実験1の方法

被験者には、前夜から10時間の絶食を行ってもらいます。また、研究実験会場到着後、朝食(シリアル・フルーツ・ミルク)を各自自由にとります。その4時間後に、White Bread(食パン)またはアルコール飲料(ビールまたは白ワイン、ジン)を食べ始め(飲み始め)から25分で完食(完飲)し、指先から血糖を測るための血液を採取します。

3種類のお酒の情報は下記の通りです。

 

研究実験1で使用されたアルコール飲料(エネルギー量が同量の1000KJ)
・ビール(商品名:バドワイザー / アルコール度数5% / アルコール量33g)
・白ワイン(商品名:Columbard Chardonnay / アルコール度数11% / アルコール量39g)
・ジン(商品名:ビフィーター / アルコール度数40% / アルコール量47g)
(なお、上記と共に、ビールと白ワインは250mL、ジンは400mLの水を飲むものとしました。)

また、参考指標の食事として、こちらも1000kJの食パンと水250mLも用意して、それぞれの食事や飲み物を完食・完飲後に、血中のグルコースとインスリンの量を比べました。

 

研究実験1の結果

 

上記のAUC値は、食後の時間経過に伴う血糖値の増加量を表した面積で、血糖値の上昇を比較する際に用いられる指標です。

この棒グラフを見てみると、「青い棒グラフ:食パン(+水)」に比べて、アルコール飲料の全てにおいて、血糖の量は抑えられているといます。特に、白ワインとジンに関しては、ほとんど血糖値の上昇は少なくなっているのがわかります。

研究実験1からわかること・「食パン+水」に比べて、アルコール飲料の血糖の量は抑えられていた
・特に、白ワインとジンの血糖値は抑えられていた。

 

研究実験2

研究実験2の方法

研究実験2では、同エネルギー量(1000KJ)のビールと白ワイン、ジン、水を用意して、マーガリン(250KJ)と食パン(2000KJ)と一緒に摂取しました。

 

研究実験2の結果

 

研究実験2から、食パンをアルコール飲料と一緒に摂取することで、血糖値の上昇が抑えられたことがわかりました。特に、研究実験1の結果と同様に、白ワインを飲んだ時に血糖値の上昇が抑えられていることがわかっています。

研究実験2からも、アルコール飲料と一緒に食パンなどの糖質を多く含む食べ物を食べると、血糖値の上昇が抑えられました。

研究実験2からわかること・食パンと一緒にアルコール飲料を飲むと、血糖値の上昇を抑えられた
・特に、白ワインの抑制は大きい

 

研究実験3

研究実験3の方法

最後の実験は、食事の前に同様の3種類のアルコール飲料と水250mLを飲んだ時の血糖値の上昇を計測しました。この時、これまでの研究実験とは異なった流れで行っています。

まず、研究実験を行う前夜から約10〜12時間のファスティングを行い、その後、8:00からシリアル・ミルク・トースト・オレンジジュースといった朝食を食べ、11:00に3種類のアルコール飲料と水250mLのいずれかを飲みました。(ただし、ジンは、低糖質のトニックウォーターを加えて飲んでいます。)

研究実験3で使用されたアルコール飲料
・ビール(商品名:Tooheys’s New Lager アルコール量20g)
・白ワイン(商品名:Sauvignon Blanc Yalumba Winery アルコール量20g)
・ジン(商品名:ゴードン・スペシャル・ロンドン・ドライジン アルコール量20g)

 

研究実験3の結果

全体から言うと、水に比べて、アルコールを飲んだ場合の方が、血糖値の上昇が抑えられています。しかし、食事の時に、飲酒した時に比べると、血糖値の上昇を一番抑えられたのが、ビールという結果が出たことは、驚きです。まだまだ、飲酒のタイミングや性別によって、血糖値の上昇がどうなるかの研究には余地がありそうですね。

研究実験3からわかること食事前の飲酒も水を飲むのに比べて、血糖値の上昇を抑えることができた

研究実験のまとめ

ブランドミラー氏の実験の「Discussion」のセクションで、適量の飲酒は、1000KJもしくは240カロリーの食事をした場合、最大37%程度の食後血糖を抑えることができると明らかにしています。

なお、このブランドミラー氏の研究の冒頭で、「Moderate consumption(飲酒の適量)」を「一日あたり1〜3杯程度」と紹介していますので、あくまでも、適量の範囲で飲酒した場合と考えるのが良いのかもしれません。

では、なぜ、適量の飲酒をすることで、血糖値の上昇を抑えることができるのでしょうか?

それは、アルコールが肝臓の糖新生を抑える能力があることに起因しているのではないかと言うのが、有力な説です。と言うのも、アルコールを代謝する際に、「アルコール脱水素酵素」という酵素を利用して、アルコールをアセトアルデヒドに変換します。

その際に、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオド)と言うアルコール脱水素酵素の補酵素が利用されます。このNADは、実は、糖新生や解糖にも利用されるのですが、アルコール代謝時には、アルコール脱水素酵素の補酵素として働くので、糖新生を行いづらくなります。そのため、糖新生が行われず、血糖値の上昇が抑えられるのではないかと考えられています。

ポイント・適量の飲酒をすることで、糖新生を助けるNADが働かず、血糖値の上昇を抑える

焼酎も血糖値の上昇を抑える

実は、日本の焼酎でも血糖値の上昇を抑えることが近年明らかになってきました。2016年の鹿児島大学などの共同研究で、夕食時に水、ビール、焼酎、清酒(日本酒)を摂取したところ、焼酎でも血糖値の上昇を抑えられることが確認されました。

そして、もう一つ面白いデータが、焼酎と清酒を飲むとREM睡眠(浅い睡眠)が短くなると言う睡眠効果も発見したことが明らかになりました。

ただし、この実験でも、アルコール40g相当で行っていますので、やはり飲酒は、適量の2〜3杯程度がいいのかもしれませんね。

研究論文:Acute effects of traditional Japanese alcohol beverages on blood glucose and polysomnography levels in healthy subjects

まとめ

まとめ・適量の飲酒(3杯まで)で、血糖値の上昇が抑えられる
・焼酎は、REM睡眠の時間を短くし、深い眠りに早くつける

 

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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