【報告レポート】日本酒まつりで登壇の一ノ蔵がベンチャーだった件

【報告レポート】日本酒まつりで登壇の一ノ蔵がベンチャーだった件

今や、日本全国だけでなく、世界各国でも楽しまれている「一ノ蔵」シリーズ。それを生産している株式会社一ノ蔵は、酒蔵業界のベンチャー企業と言われるほど、機動的に新しいことを行っている会社としても知られています。そこで、今回は、日本酒まつりでの鈴木整社長の登壇と一ノ蔵のブースでお話を聞いたことをまとめました。

酒蔵が廃業を余儀なくされた昭和30年〜昭和40年代で生まれた一ノ蔵

・戦後から昭和30年代

終戦後、多くの食料を確保することができなかった日本では、日本酒の原料となる酒米を確保するのも非常に難しい時代でした。そのため、酒の原料となる酒米は、政府の統制下にありました。

この酒米の課題は、数量の確保であったため、10年以上、政府を通じて、数量に重きを置いて、安定供給していました。しかし、高度経済成長で、日本でも大きく技術革新が起こり、米は増産されるようになりました。

そのため、米不足の時代に機能していた政府統制下での米流通の仕組みは、見直すことを余儀なくされ、ついに、自主流通制度という仕組みにシフトしていきました。しかし、この仕組みは、農協系統の組織が、90%以上の米穀を取り扱うことになり、売り手有利となり、酒蔵は価格面や待遇面で不利な状況に陥ることになりました。

この時期の自主流通米価格は、約10年で、倍以上に跳ね上がり、自主流通制度を設けた昭和44年以降、廃業したのは、下記の通りでした。(吉川弘文館:日本酒の近現代史)

年度
廃業数
昭和43年度
83
昭和44年度
147
昭和45年度
101
昭和46年度
63
昭和47年度
62

・そんな苦境時代に産声をあげた一ノ蔵

この時代、資本力を持っていた酒蔵は、安い日本酒を大量生産して、「何本買えば、無料で一本ついてきます」のうたい文句で、販路をどんどん拡大していきました。しかし、「このままではいけない」と危惧した創業者(20〜30代)が集まり、「品質で勝負して、いい酒を作ろう」としました。

(一ノ蔵のスタッフ曰く)当初は、9つの酒蔵が、名乗りをあげたが、最終的に残ったのが、4つの酒蔵だった。
①浅見商店(仙台)②勝来(かちき)酒造(塩釜)③桜井酒造店(東松島)④松本酒造店(大崎市)

では、酒蔵の所在地はどうしたのだろうか?「水が美味しい場所」を求めて、一から場所を探したといいます。というのも、4つの蔵のうち、一番大きい場所で、創業すればいいと考える人もいるでしょうが、それだと、側から見たら、吸収合併のように見えてしまうし、社員もそう思ってしまうので、一から場所は探したそうです!

「常にいい酒」を追求する一ノ蔵が次にしたこととは?

30代以上の方は、記憶にあるかと思いますが、平成5年に日本は、大冷害に見舞われました。その際、日本のお米が品薄状態で、高価格になってしまったこともあって、タイ米が流通しました。

そんな時、一ノ蔵では、その事態を自分ごとで考え、自らで農業を研究する部門「一ノ蔵農社」を立ち上げました。しかし、この時期、株式会社は、農業することを許されていなかったため、農業研究を取ることになります。今では、一ノ蔵へ酒米を供給している「松山町酒米研究会」と共に、環境保全型農業も推進している。

そして、小泉政権時代の株式会社でも農地を借りることで、農業参入ができるようになり、より、柔軟な日本酒生産が可能となりました。ただこれは、あくまでも、農地を借りて行うものとしており、所有は認めていません。

日本初が好きな一ノ蔵⁈

・日本初、マーケットが受け入れた清酒発砲すず音

一ノ蔵は、先代の鈴木和郎(現社長の父)が、1988年にヨーロッパ視察に出向いた時に、白ワインの微炭酸のホイリゲというお酒を飲み、同じ醸造酒の日本酒でも同様のことができるのではないかと考えます。そして、まず低アルコールタイプの日本酒「ひめぜん」を開発・販売し、さらに発酵による炭酸ガスで発砲感を出した「すず音」を発売しました。

そして、2015年・2018年と「IWC スパークリング清酒部門」で最高賞受賞した一ノ蔵 すず音 Wabiが注目を集めています。

商品名:一ノ蔵 すず音 Wabi
香り:★★☆☆☆
酸味:★☆☆☆☆
甘口:★★☆☆☆:辛口
淡麗:★★★☆☆:濃厚
キレ:★☆☆☆☆
コク:★★☆☆☆
アルコール度数:5%

・日本初の日本酒大学とは⁈

一ノ蔵では、「日本酒大学」という泊まり込みで日本酒を学べるものがあるのをご存知だろうか?日本酒大学では、日本酒を座学で学んだり、実際に酒造りをすることができる。酒蔵ツーリズムという考え方のもと、もっと日本酒を楽しんでもらう企画として、毎年多くの受講者いるそうです。

・日本酒業界初!温泉熱でお酒を加温熟成

鳴子温泉の熱を生かして、加温熟成するMadena(マデナ)。これは、マデイラワインの製法の「酒精強化」を行っています。アルコール発酵を途中でやめ、一ノ蔵の原酒を加え、加温熟成をしているため、デザートワインの「ポートワイン」に近いような、トロミのある日本酒に出来上がっています。

 

商品名:一ノ蔵 Madena(マデナ)
香り:★★★☆☆
酸味:★★☆☆☆
甘口:★☆☆☆☆:辛口
淡麗:★★★★☆:濃厚
キレ:★☆☆☆☆
コク:★★★★☆
精米歩合:65%
アルコール度数:18度
特徴:色は琥珀色で、香りは、甘く、ポートワインのような香りがします。口に含むと甘みが広がったあと、酸味も少し顔を覗かせて、最後は、さっぱりしてくれます。

まとめ

①清酒業界にとって厳しい時代に4社が集まって創業したベンチャー酒蔵
②常に新しい試みを実行していて、「日本初」が多い珍しい酒蔵
③世界でも認められた新しい日本酒は、絶対おすすめ!(すず音 Wabi、Madena[マデナ])

 

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SAKE RECO 編集長

SAKE RECO 編集長

日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。以前から日本ワインは勉強中!

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