二日酔いが治っても脳へのダメージは回復しない?!
二日酔いで仕事をしたり、勉強するのは辛いですよね。実は、二日酔いが治った後でも脳の機能はなかなか回復しないようなんです。そんな二日酔いでどんな脳の機能がダメージを受けやすいのかをメタ分析で明らかにした研究があるので、ご紹介します!
この記事は、「ビジネスマン」や「試験を控えた学生や社会人」におすすめです。
人が持っている認知機能とは?
「認知」というと多くの人が「認知症」という言葉を思い出すかもしれません。では、「認知機能」とは何を意味しているのかご存知でしょうか?
厚生労働省のe-ヘルスネットで記載されている「認知機能」は下記のように定義されています。
… 心理学的には知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまな要素が含まれますが、これらを包括して「認知」と呼ばれるようになりました。…
このように、人間の生産的な活動に欠かせない「認知機能」が二日酔いの脳のダメージによって、機能が低下してしまうと言う研究が発表されました。
二日酔い症状が消えても脳は回復していない?
二日酔い症状が起きても、脳の機能は回復していないことがわかってきました。
飲み過ぎが与える脳の認知機能低下を発表した研究
2018年に発表されたイギリスのバース大学の研究チームが、「A systematic review of the next-day effects of heavy alcohol consumption on cognitive performance」と言うメタ分析研究をイギリス依存症学会誌「Addiction」で発表しました。
この研究では、血中アルコール濃度(以下:BAC)が低下したとしても、アルコールによって影響を受けた脳の認知機能の低下は回復していないといいます。
認知機能が低下する理由
アルコールを摂取するとアルコールの利尿作用で、体の水分が排出されてしまいます。これによって、認知機能に必要な栄養素を失ってしまいます。
これは、脳の認知機能にも影響を与えてしまい、その脳が普段の状態になるまでに、数時間かかってしまいます。そのため、それまでは注意力(集中力)や記憶力、判断力は低空飛行してしまい、いつもよりもパフォーマンスが低クオリティーになってしまいます。
二日酔いで機能低下が起きる認知機能
二日酔いで機能低下が起きる認知機能には下記があります。
- 精神運動速度
- 短期記憶
- 長期記憶
- 維持的注意
それぞれをご紹介していきましょう。
精神運動速度
「精神運動速度」とは、簡単にいうと「思考」や「反応」、「動作」などのスピードです。例えば、飲酒運転は禁じられていますが、これも飲酒による「精神運動速度」の低下で、事故を起こしてしまうことを避けることにも紐づいています。
この他にも、仕事の営業で相手の言っている意図や意味を理解しようとするスピードが低下してしまうことも精神運動速度の低下によるものになります。
このように、二日酔いによって、脳の「精神運動速度」が低下することで、反応スピードが悪くなり、通常よりもパフォーマンスの悪化が懸念されます。
短期記憶&長期記憶
短期記憶と長期記憶の機能低下があることも明らかにされています。これは、記憶を呼び起こす「検索」に問題があるのではなく、二日酔いでの「記憶形成」に原因がある可能性があると示唆しています。
記憶形成で重要なプロセスは、「長期増強による海馬での記憶形成」です。「長期増強」とは、神経細胞の信号伝達を強化する働きです。これによって、記憶の強化に繋がると考えられています。
飲み過ぎた翌朝に、「長期増強」に対して有害な「インターロイキン-6」や「コルチゾール」が与えられると記憶形成が損なわれてしまう可能性が示唆されています。
このように、二日酔いによって「記憶」に悪影響が出てしまうので、「資格試験の勉強中」や「大事なプレゼンやスピーチ」を控えている人の深酒は要注意です。
維持的注意
維持的注意とは、「長い時間、特定の対象に焦点を合わせ続ける能力」です。例えば、「人との持続的な会話」や「一定の期間集中を要するような勉強」が該当します。
このように、長期間の集中を維持させる「維持的注意」も低下する傾向にあるので、長時間の集中が必要な場合は、飲み過ぎ注意です。
脳の認知機能を回復させる食べ物
◆ 低GI食品
脳の認知機能を回復させる食べ物には、低GI食品(Low Glycemic index foods)があります。これは、血糖値の上昇が緩やかな食品です。
この食品を摂取することで、「注意力」「記憶力」などの認知機能の改善が期待されると言われています。
代表的な食べ物:玄米、そば、緑黄色野菜、キノコ類、ヨーグルト
◆ アミノ酸(トリプトファン)
セロトニンなどの神経伝達物質の合成のために、アミノ酸の摂取は必要となります。このセロトニンは、「学習」や「理由づけ(論理)」、「記憶」に欠かせない物質です。
このセロトニンを増やすには、アミノ酸の一種「トリプトファン」、ビタミンB6、炭水化物が必要です。そんな3つの栄養素を併せ持っているのが、「バナナ」です。
代表的な食べ物:バナナ
◆ オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸には、記憶力や読解力の向上などの効果があるとされています。また、精神的な安定にも効果的とも言われています。
代表的な食べ物:イワシやさんま、サバなどの水煮缶詰、ナッツ
まとめ
資格試験の勉強や大事な商談の前は、深酒せずに、二日酔いに注意するようにしましょう。
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