ノンアルコールビールでもビールを飲むのは同じこと?!

皆さんは、通常のビールとノンアルコールビールの二つを出されて、一口目で明確に「どちらがビール」と言い当てることができるでしょうか?

新たな研究報告では、通常のビールもノンアルコールビールも脳が受け取る「報酬」に大きな違いがないことが明らかになりました。そこで今回は、オランダのヴァーヘニンゲン大学の研究をご紹介します。

研究概要

今回は、オランダのヴァーへニンゲン大学の研究者が発表した「Brain Responses to Anticipation and Consumption of Beer with and without Alcohol」の研究をご紹介します。

この研究は、普段からビールを飲む21人の男性(18〜35歳)を対象として行われました。この被験者には、「ノンアルコールビール(アルコール度数:0.00%)」と「アルコールを加えたノンアルコールビール(アルコール度数:4.8%)」を飲んでもらいました。

なお、使用されているノンアルコールビールは、味わいに複雑さを出すように醸造方法を経ているため、よりビールに近い風味となっています。

この研究では、これまでの多くの研究で明らかにされてきた「ビールの風味が、アルコール報酬と結びついて条件刺激を誘発する」ということから、ビールの風味がビールを飲むという体験の重要な要素であると考えると「ノンアルコールビール」でも通常のビールと同様の脳の動きをするのではないかということを考えています。

なお、この実験では脳の動きを把握するためにFunctional MRIを使用し、具体的な脳の部位を把握しています。

研究結果

この実験の結論は下記のように記載されています。

In conclusion, we found no differences in acute brain reward upon consumption of NA-beer with and without alcohol, when presented in a context where regular alcoholic beer is expected,

簡単に言うと、ノンアルコールビールとアルコールを含んだノンアルコールビールの消費では、脳の報酬系への大きな違いはなかったと言うことです。(ただし前提として、被験者は通常のアルコールを含んだビールを飲めると思っています)

そして、この論文の最後にはこうも記載されています。

This suggests that in regular consumers beer flavor rather than the presence of alcohol is the main driver of the consumption experience.

ビールを飲む人にとっては、アルコールの存在以上にビールの風味がビールを消費することの重要な要素であると言っています。

それだけでなく、アルコールについてちょっと面白いことを言っています。それは、

there is no direct detection of 5% alcohol by receptors on the tongue when presented in a beer context.

ビールだということで、ノンアルコールや低アルコール度数ビールを飲む場合、舌の感覚を受け取る器官(レセプター)は5%までのアルコールだと直接は感知しないということです。ビールと思って飲んでいたものが、仮にノンアルコールだった場合であっても、風味がビールに近ければ近いほど、舌ではアルコールを感じないため、ノンアルコールと気づかないかもしれないということです。

舌でノンアルコールビールを満足すると言う意味では、節酒や禁酒をしたい人にとっては、かなりノンアルコールビールの存在は重要かもしれません。ただし、風味が通常のビールに近いことが前提となりますが。

POINT】
・アルコール入りでも入っていなくても脳の動きに変化はなかった
・お酒を飲んでいるという認知の前提で、舌は5%以下のアルコールを感知しない
・ノンアルコールを満足して飲むには、「ビール」に非常に近い風味が重要

もう少し研究を具体的に見てみると・・・

◆ テイスティング

「アルコール入りノンアルコール(4.8%)」と「ノンアルコール(0.00%)」を口に含んだ状態での脳の動きは大きく変わりませんでした。このことからも、先ほどご紹介した「5%以下のアルコールを舌で察知し、脳へ刺激を伝達していない」ことがわかります。

◆ スワロー(飲み込む)

飲み込む時に大きく脳の動きに差が現れました。アルコールを含んだノンアルコールの方が、アルコールを含んでいないノンアルコールに比べて、脳の下記の部分に変化が起こりました。

【反応した脳の部位】
・下前回部
・島皮質
・背外側前頭前野(上前回部)

このことから、飲み込んだことで、エタノールの刺激を感じたと考えられ、これは脳の報酬プロセスとは異なるようです。

十分に楽しめるノンアルコールビールとは

海外では、日本以上にノンアルコールビールがブームとなっています。しかも、ビール大国ドイツでは、400箇所以上のノンアルコールビールの醸造所があるほどです。そこで今回は、2つご紹介します!

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ビールの本場ドイツの「ヴェリタスブロイ ピュアアンドフリー」は、日本でも人気が出てきているノンアルコールビールです。ヴェリタスブロイが愛される理由は、健康に気を遣った点と言えます。というのも、このビールには、「アルコール」も「添加物」も含まれていないからです。

そして、なんと言ってもビール本来の旨味や喉越しを残し、ビール本来の成分がしっかりと含まれている点にあります。本来ビールに含まれるホップや麦芽の成分が残るのは、最後に、アルコールを除去する工程で、ノンアルコールビールを造っているからです。健康のために、ノンアルコールビールを飲むのもいいかもしれません。

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ドイツでバイスビア(小麦ビール)の象徴的な存在である「エルディンガー社」のアルコールフリーは、世界的にも非常に人気のあるノンアルコールビールです。

その理由は、もしかしたら「泡」にあるかもしれません。「泡立ち」が綺麗でクリーミーな上に、コクがしっかりとしていて、深みがあります。まるで、クラフトビールかのような味わいもまた人気の理由の一つなんだと思います。ノンアルコールビールと言われなければ、間違えるかもしれません。

まとめ

【まとめ】
・ビールに風味が似ていれば、ノンアルコールビールでも十分満足できる
・(お酒を飲んでいるという認知のもとでは)舌は、5%以下のアルコールを感知しない
・世界のノンアルコールビールのクオリティーが間違いなく高い

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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