肥満対策と心疾患リスクを下げる「ビール」の力とは?

「ビール」のメタ分析研究とは?

今回ご紹介する「ビール」のメタ分析研究は、2015年に発表された「Effects of moderate beer consumption on health and disease: A consensus document」です。

「メタ分析」とは、これまでの研究データを集めて、再度、それらのデータを再考して、研究結果を分析し、まとめ上げたものと考えてください。

今回のメタ分析では、「ビール」に含まれる成分を明らかにして、「ビール」を適量(女性の場合:1杯、男性の場合:2杯)に摂取した場合と過剰にビールを摂取した場合に分けて、その体への影響を発表しています。

ビールに含まれている一般成分

当研究では、ビールに含まれている成分を明らかにして、その中でも、他のアルコール飲料と比べて、特にビールに含まれている成分に焦点をあてて、1〜2杯のビールを飲むことでの体への影響を示しています。

前提条件として、缶ビール1本あたり「330mL」を平均値としており、平均のアルコール濃度を約4%、その場合のカロリを約140kcal、炭水化物を12g、そして単糖は0gとしている。

そして、「moderate beer consumption(穏やかなビール飲酒)」を男性の場合は、缶ビール2本、女性の場合を缶ビール1本としている。

では、ビールに含まれている成分(当研究で注目されている)をご紹介しましょう。

ビールに含まれている主な成分
カルシウム(Ca)、鉄分(Fe)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、フッ素(F)、各ビタミン(A・B6・B12・C・Dなど)、葉酸、コリン、ポリフェノール

 軽く一杯のビールを飲む体への好影響とは?

ポリフェノール

ビールには、ワインに含まれている「ポリフェノール」が多く含まれています。このポリフェノールが、ビールの特徴を決め、「風味」や「ボディー」、「コク」などに直接関係しています。

2種類のビールに含まれるポリフェノール
・レギュラービール:22mg/550mL
・黒ビール:10mg/550mL

このポリフェノールは、現在、「バイオマーカー」や「炎症による関連症予防」の役割があり、医療でも活用されている。また、ポリフェノールは、作られた環境や醸造技術によって、特徴に変化が出たりします。

このポリフェノールを含んでいる「ビールの飲酒」と「血管系心疾患のリスク」の関係性を、16の研究の約29万人の健康な成人のデータを使ってメタ分析しました。

その結果、ワインを飲んだ時と同様に、著しく血管系心疾患のリスクが低減するということがわかりました。しかも、そのリスクの低減を意味するグラフは、ワインを摂取した時と同様のカーブを描き、曲線は重なっているほどだったというのです。

しかも、他のスピリッツでは、このような明らかな効果を確認することができなかったというのです。

ビールを飲む好影響①
心疾患のリスクが軽減。ビールの軽い飲酒が、心疾患リスク低減の鍵。

軽いビール1〜2杯が与える好影響

1.抗酸化・抗炎症作用
ポリフェノールが含まれているビールなどのアルコール飲料の軽い飲酒(1〜2杯)程度は、心疾患リスクの低減以外にも、「抗酸化作用」「抗炎症作用」があります。

2.HDLコレステロールの増加
HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収して、動脈硬化を抑える働きがあります。そのため、HDLコレステロールがビールを軽く飲むだけで増え、血液が正常な状態に戻るのを助けます。

3.インスリン受容性の増加
インスリンは、糖をエネルギーに変えるために必要で、そのために、インスリンが細胞に糖を届けるために「インスリン受容体」という鍵穴にインスリンという鍵を挿して、細胞に糖を届けます。そんなインスリンと受容体がマッチすることで、高血糖状態を回避することができます。

4.虚血性発作リスクの低減
虚血性発作は、脳卒中の前触れと言われることも多く、やはり血管系の疾患に繋がっています。

5.細胞の老化によるダメージ

6.認知症・痴呆・アルツハイマー病のリスク低下
軽い飲酒は、認識能力自体に影響を与え、認知症、痴呆やアルツハイマーの発症リスクを低下させるとされています。

7.男女共に心筋梗塞のリスク低下
HDLの増加やフィブリノゲンレベルの低下、インスリン受容性の活性化、血管の脂質除去により、心筋梗塞のリスクが低下します。

ビールを飲む好影響②
・コレステロール値の改善(HDLコレステロールの増加)
・心疾患リスクの低下
・血管系疾患リスクの低下
・認知症や痴呆、アルツハイマーなどの認知疾患リスクの低下
・心筋梗塞のリスク低下

この研究から注意したいこと

あくまでも、この研究では、「ビール1〜2杯の軽い飲酒」での影響です。当研究でも何度も記載されていますが、「過剰飲酒」については、紛れもなく体を害するものとされます。

また、癌と軽いビールの飲酒についての相関関係は、要素・要因が複雑であるということもあり、未だ明らかなことが少ないのが現状です。今後、少しのビールを名一杯味わいながら、健康な体を維持して行けるといいですよね。

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SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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