令和大嘗祭に供される「白酒」と「黒酒」とは

2019年11月に行われる「大嘗祭」は、天皇が即位して初めて行う新嘗祭ですが、ここでも、神様に捧げる「酒」があるのをご存知でしょうか?そこで今回は、令和大嘗祭でも神様に供される「白酒」と「黒酒」をご紹介します。

大嘗祭とは

高校の日本史の教科書や参考書に、必ず出てきたのが、「新嘗祭(にいなめさい)」と「大嘗祭(だいじょうさい)」です。

「新嘗祭」とは、毎年11月に行われる収穫祭のことで、その時に収穫された穀物を神に捧げる儀式で、五穀の収穫を祝うもので、宮中祭祀として、毎年行われてきました。

「大嘗祭」は、天皇が即位した年に行われる「新嘗祭」とされており、現在では、天皇一世に一度となっています。600年代に儀式としての形式になって以来、その時の政治や状況によって、形を変えながら続いてきましたが、応仁の乱があった室町時代から戦国時代までの約220年は、行われずにいました。

しかし、世の中が安定した江戸時代に在位していた東山天皇の時に、再興されたとされています。

神様に献上する稲を決める「斎田点定の儀」とは

神様に収穫された稲を奉納する訳ですが、その収穫する稲の田を決めるのが、「斎田点定の儀」です。この儀式では、亀卜(きぼく)と呼ばれる占いを用いて、どの地域(国・郡)の田で収穫された稲にするのかを決めます。

この斎田は、2ヶ所決めることとされており、「悠紀(ゆき)」と「主基(すき)」があります。「悠紀(ゆき)」は、東日本から、「主基(すき)」は西日本から選ばれるのが原則とされており、令和元年の大嘗祭では、「悠紀」に栃木県、「主基」に京都府が選ばれました。

稲を収穫する「斎田抜穂の儀」とは

いよいよ、稲の収穫の時期になると、具体的に収穫の準備に入ります。

8月に入ると、各地域にお祓いを行う使いを派遣し、五穀豊穣を祈ります。その後、「悠紀」と「主基」の両国に、稲穂を収穫する「抜穂使」を送り、具体的に収穫する斎田や収穫した稲などを持ち帰る役割を果たす「雑色人」を選びます。

同時期に、造酒童女と呼ばれる神様に捧げるお酒を醸す人も選びます。

そして、9月に、「斎田抜穂の儀」が行われます。初めに収穫された4束の稲穂は特別に保管され、「御飯(みい)」とされ、神様のご飯とされます。それ以外の稲穂は、「黒酒」と「白酒」の米として醸されます。

大嘗祭で特に重要なものは、「稲」と「酒」です。特に、「米」と「酒」は、造酒童女(6名の女性)によって醸されました。

「白酒」と「黒酒」とは

「白酒」は、収穫された稲で醸されて、濾されたお酒ですとされています。現在の日本酒のように、綺麗に透き通った酒質というよりは、酒粕が含まれた白色がかっています。

「黒酒」は、「延喜式」によると木の根を焼いた灰を加えたもので、そのため黒く濁っているとされています。

この2つ神酒は、伊勢神宮に祀られている「天照大神」のお食事にも供されています。

伊勢神宮では、この他に、清酒もお食事として供されるが、そのお酒は、以前「天皇即位と新元号で注目⁈三種の神器と皇室に関わる『神社』と縁起の良い開運日本酒とは⁈」でもご紹介した白鷹の御料酒です。懐石料理や割烹料亭に置いてあるところが多いので、見つけたら、飲んでみるのもおすすめです!

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SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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