脳が小さいと飲酒量が増える?!
これまで、アルコールを摂取することで、脳の容量が減ってしまったり、萎縮してしまうと言われてきましたが、2019年に発表された「Which came first: Brain size or drinking propensity?」では、脳の容量が小さいことが、アルコールの過量消費のリスクを増大させてしまう可能性を示唆しました。そこで今回は、上記の発表をご紹介します!
脳の「ある部分」が小さいと飲酒量が増える?!
この研究の発表を行ったのは、ワシントン大学のブレインラボのディレクターであるライアン・ボグダン氏とその同僚らです。
研究は、脳の画像データを分析するをベースとして行われました。その画像データの素材となったのが、3つの研究です。
- 双子の飲酒行動の比較・分析
- 飲酒経験のない幼少期からの長期間の脳の分析研究
- 死後の脳細胞を使っての遺伝子発現(遺伝子情報を細胞に書き込んで、具現化して行く過程)分析
この3つの研究・分析からいくつかのことがわかってきました。
その一つが、「背外側前頭前野」と「島皮質」の灰白質の容量とアルコール消費との関連性でした。この二つの部位の働きには、「感情」、「記憶」、「報酬」、「認知」、「意思決定」といった人間が生きていく上で、非常に大きな役割をはたすものばかり。
この二つの部位の灰白質の容量が「将来の飲酒量」と「大人になった若年期でのお酒を飲み始める時期」などを予測することが可能な要素であると明らかにしました。
ポイント1「背外側前頭前野」と「島皮質」の灰白質は、「将来の飲酒量」や「飲酒開始時期」などを予測することができる因子
今はお酒を飲まなくても、将来大酒飲みになるかも?!
2つ目に、飲酒行動が異なる双子の兄弟の脳の画像データを分析しました。双子のうちの一人は、よくお酒を飲み、もう一人は、お酒をほとんど飲みませんでした。
その結果、確かに、これまでの通説通り、よくお酒を飲む方が、灰白質が小さかったのですが、もう一方のお酒をほとんど飲まない方も同様の小ささでした。
このことから、現在は、お酒を飲んでいなくとも、将来飲酒量が増える可能性があるということがわかってきました。
ポイント2灰白質が小さい場合、今はお酒を飲まなくても、将来、飲酒量が増える可能性がある
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