白鷹の「こだわり」と「飲み方」とは? 白鷹株式会社 東京支店長 瀬戸光一さん

前回、ご紹介した記事「伊勢神宮の御料酒蔵元としての『こだわり』と『歴史』とは 白鷹株式会社 東京支店長 瀬戸光一さん」では、これまでの白鷹株式会社についてお話ししていただきました。今回は、白鷹株式会社の「こだわり」にもう一歩踏み込みつつ、日本酒の楽しみ方や白鷹株式会社の今後について、お話ししていただきました。



創業当初からの白鷹の「3つのこだわり」

Q:瀬戸さんと初めてお会いさせてもらったのが、「銀座君島屋」さんでした。その時に、伊勢神宮の「御料酒」と同じ造りとしてご紹介していただいたのが、「白鷹 大吟醸純米 しぼりたて生原酒」だったと思います。そこで、ちょっと聞いてみたいのですが、御料酒として伊勢神宮に献上している「白鷹」と消費者が召し上がることができる「白鷹 大吟醸純米 しぼりたて生原酒」には、どんな違いがあるのでしょうか?

(瀬戸さん):はい、おっしゃる通り、御料酒と「白鷹 大吟醸純米 しぼりたて生原酒」の造り方は、造りは同じです。しかし、御料酒として、瓶詰めして、伊勢神宮に献上する御料酒と、みなさんに召し上がっていただく「白鷹 大吟醸純米 しぼりたて生原酒」や「極上白鷹」とは、特別に分けて造り、保管させていただいております。それだけでなく、御料酒は、神様が召し上がるお酒ですので、私たちが飲んだり、販売したりすることは出来ません。

また、そのお酒の造り方ですが、うちの酒蔵で、「常に一番自信を持ってご紹介できるお酒」を伊勢神宮にご評価いただいて、御料酒としていますので、当然かもしれませんが、伊勢神宮にご採用いただいた当時のお酒の造りは異なっています。「自信を持ってご紹介できるお酒」というのは、創業以来、弊社の「こだわり」が一番反映されているお酒です。

Q:では、「白鷹」の日本酒のこだわりとその特徴を教えていただけますか?

(瀬戸さん):弊社のこだわりには「3つ」あります。それは、「米」と「造り」と「水」です。

白鷹の酒米を生産している田んぼ

(白鷹の酒米を作る田)

お酒にする酒米に関しては、弊社が初めて「村米制度」という契約農家と酒蔵の酒米取引を導入したとされていまして、創業から、プロである「農家」にお米の品質を任せることで、お酒の原料になる米の品質を維持することを大切にしていました。

白鷹の村米制度の石碑

(村米発症の地)

具体的には、「山田錦」ができる前の「山田穂」を、当時の農家さんに生産していただいて、そのお米を買い上げ、時には、ボーナスを出すなどして、契約農家さんとの取引を太くしつつ、より品質の高い酒造りを心掛けていました。また、その後も兵庫の特A地区産の山田錦を使って、お酒を造ってきました。

灘の白鷹の酒造りの名水「宮水」の井戸

(名水「宮水」の井戸)

そして、酒造りについてですが、丹波杜氏の伝統を継ぐ「生酛造り」にこだわっています。それだけでなく、灘に湧きます酒造りの名水「宮水」を使っていることもこだわりです。このこだわりの3要素で造ったお酒が、自信を持ってご紹介できる御料酒として、伊勢神宮に献上させていただいております。

Q:先ほど気になったのですが、あえて「大吟醸純米酒」と記載されているのに、何かここにもこだわりがあるんでしょうか?

(瀬戸さん):はい、先々代が名付けたとされているのですが、実は、その名付けた理由については、社内でも、謎に包まれているんです。ご購入になったお客様からも、年間数十件近くのお問い合わせをいただきますね。ただ、酒税法上、特定名称としての「純米大吟醸酒」が正しいのですが、表記上は問題なく、これも弊社のこだわりになるんかと思います。

「白鷹」の日本酒の楽しみ方

Q:これまで、伊勢神宮の御料酒を献上し、日本料亭などで飲まれてきたわけですが、20代〜30代の若い世代に向けて、「白鷹のこんなお酒の飲み方がおすすめ」というのがあれば教えてください。

白鷹のこだわりの日本酒写真

(瀬戸さん):そうですね、弊社のお酒は、酒質的に、「濃醇・辛口」ですので、若い方が飲む「入り口のお酒」としては遠いものかもしれませんが、あえて言いますと、味わいが深いので、「やや冷え」くらいで、「ワイングラス」で、味わいを楽しんでもらえればと思います。気軽に、肩肘張らずに、楽しく飲んでみてください。また、弊社のお酒の特徴としては、先ほども申し上げましたが、「原料・造り」にこだわっていますので、米らしい味わいや香りを感じてもらえるといいですね。

今の日本酒のトレンドは、若い人にも楽しんでもらえるような「フルーティーで、華やかな日本酒」が多いように思います。その傍らに、弊社の味わい深い「白鷹」を置いてもらって、飲み比べてもらうのは、面白いんじゃないかなと。ですから、最初は、他社さんのフルーティーな日本酒でも構いませんので、飲みやすいものを楽しんでもらって、その一方で、濃醇な味わいの白鷹を飲んでもらえると、その違いを楽しむことができるかと思いますので、ぜひやってみてください。

とは言っても、最初のうちは、日本酒を飲み始めた頃は、あまり難しく考えずに、「香り」「味」の2つで、自分に合ったものを見つけていけば良いと思います。その方が、シンプルにお酒を楽しめるのかなと個人的には感じます。

時代が進むにつれて、技術は向上し、原料も手に入りやすくはなったと思います。その一方で、どこか日本酒が持っている「米」本来の味わいや香りが置いていかれた時もあったのかなと感じています。しかし、最近では、「無濾過」や「生原酒」などのように、お酒本来の美味さにも注目が浴びるようになったのは、やはり酒の「違い」が面白いと思う人がいたり、お酒本来の味や香りが好きな人がいるということなんだと思います。ですので、皆さんも色々なお酒を召し上がってみて、お酒の「違い」を感じてもらいたいですね。

Q:瀬戸さんも日本酒を「飲み始めた頃」と「今」とでは、日本酒の楽しみ方に変化はありましたか?

白鷹のお酒を注ぐ東京支店長瀬戸さん

(瀬戸さん):もちろんあります。日本酒を飲み始めた頃の若い時と今とでは、「ベロメーター」が違うため、味の感じ方がまるで違います。やはり、20代と40代の味の経験値は違いますので、それによって、自分の味の好みという変わってきているように思います。ちなみに、「ベロメーター」というのは、「味の経験値」のことで、前職からよくこの言葉を使っていたので、自然とお話してしまいました(笑)

この「ベロメーター」と「年齢」がうまく噛み合って、お酒の「エントリーユーザー」から「ライトユーザー」、そして「ヘビーユーザー」へと移行していくように思いますね。その中で、私は、「自分に合ったお酒」を見つけてきたという感じですね。あとは、前職が食品メーカーということもあって、「味を経験する」ということを大切にしていたので、この「ベロメーター」という言葉は、重宝していました(笑)ただ、今は、味をAIなどで数値化するようになったりしているので、今後は、「味の経験」ってどうなのかなと思いますけどね。

Q:これまで、蔵元さんやワイナリーさんのお話を聞いて、「『味』というのは、『主観』です」とおっしゃられる方が非常に多くいらっしゃったので、そもそも味の感じ方は人それぞれなのかと思います。そう考えると、味の数値化を行ったとしても、感じ方が違うとその数値は、目安にはなると思うのですが、「絶対」ではないかなと思うのですが、いかがですか?

(瀬戸さん):本当にそうですね。少し脱線してお話してもいいでしょうか?

これまで、食品と日本酒を扱ってきましたが、「美味しい」や「美味しくない」というのは確かに個々人にはあるのかなと思います。例えば、Aさんは「〇〇酒」を「美味しい」と言ったとしても、Bさんは、同じお酒を「美味しくない」と感じるかもしれません。その中で、「『美味しいお酒=高いお酒』なのか?」「『美味しいお酒=売れる』なのか?」なんてことを考えても、「味」は「主観」なので、答えはないのかなと思いますね。

確かに、「1000人が『美味しい』」と言えば、「きっと」美味しいんでしょうし、「1000人のうち1人が『美味しい』」と言えば、その人にとっては、美味しいんだと思います。そうすると、やはり「答え」がない。その中で、上手に「美味しい」と感じてもらえるようにお酒をご提案させていただいて、「このお酒だったら、この価格で買ってもいいな」と思ってもらうのが、営業である私の使命かなと思っています。

Q:最後に、白鷹として、日本酒業界をどのように考え、そして、どういう展開を考えていらっしゃるのかを教えていただけますか?

(瀬戸さん):日本酒業界についてですが、個人的な見解を言いますと、業界自体は、大きく成長することはないと思います。ですので、「量」ではなく、「質」をよりこだわらないと、淘汰されてしまうと思います。その中で、弊社としては、これまでの白鷹の伝統・文化・こだわりを守り続けることが大切だと考えています。ですので、造りなどの白鷹の本質は変わらないと思いますが、これからは、少しずつ表に出て行ってみる試みは必要なのかなと思います。創業当時、生産の100%を東京で販売していた歴史もあるので、東京支店長として、売り場に立つなどをしていこうと思っています。また、先ほど述べましたが、「第五回世界唎酒師コンクール」のファイナリストとしても、発信していこうと思っています。

【記者からの一言】
お仕事のお話はもちろんですが、プライベートなことも色々とお話していただいて、瀬戸さんの優しいお人柄でありながら、白鷹のお酒への思いや熱量がとても感じられる時間でした。また、白鷹のお酒を愛し、そして理解しているからこそ、白鷹以外のお酒との違いを楽しんでもらいたいという「消費者目線」を大切にした営業心に感動しました。私は、瀬戸さんを「白鷹の伝道師」と思えてなりません。

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【詳細情報】

住所:兵庫県西宮市浜町1−1
電話番号:0798-33-0001
代表銘柄:『白鷹』『悦蔵』

公式サイト:https://hakutaka.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/hakutaka.jp/

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