恵比寿今市を支えるお酒マイスターのお酒に魅了された『飲食の道』とは? 恵比寿 今市 酒番:平林 京子さん

住所・電話番号非公開でありながら、リピートする人が、足繁く通うお店「恵比寿 今市」特集の第二弾。前回の「様々な角度で料理と向き合い続けた料理人の『こだわり』とは? 恵比寿 今市 料理長:濵野 崇史さん」では、料理長の濵野 崇史さんをご紹介しました。今回は、店舗責任者でもあり、「恵比寿 今市」のお酒マイスター的存在の「平林 京子」さんに「お酒に魅了されたキャリア」と「今後の恵比寿今市のお酒」について取材させていただきました。

タイミングが重なって選んだ飲食の道

(写真:左手が平林さん)

Q:飲食業界へ飛び込んだきっかけを教えてください。

(平林さん):専門学校時代に、居酒屋でアルバイトを始めたのが、飲食業界に入ったきっかけです。最初は、「一人暮らしをしてみたい」という思いから、専門学校に通いながら、チェーンの居酒屋で、朝まで働くほどのめり込んで働いていました。そのうち、その居酒屋さんにきていた常連のお客様の紹介で、銀座のイタリアンレストランのお店で、正社員として、ホールで働かせてもらうようになります。そのあと、カフェやダイニングバーなどで働きました。今考えると、様々なスタイルのお店で働けたことで、お酒の知識や料理、接客を含めた仕事の仕方が学べたことは、非常にいい経験でした。

Q:アルバイトで働いていた居酒屋から銀座のイタリアンレストランで働くようになって戸惑いはありましたか?

(平林さん):それは、かなりありましたね。それまでの居酒屋では経験したことがなかった「接待での利用」など、『自分の知らない世界にいきなり入った』という感じはありましたね。ただ、ワインなどのお酒の種類や特徴は、入社してからのめり込むようにして覚えていったので、「不安」ということはありませんでした。むしろ、色々なお酒を勉強できたので、面白かったです。実は、両親が、ビール会社に勤務していたということもあり、昔からお酒が身近な存在だったことも、お酒の勉強するのによかったのかもしれませんね。

「広がるお酒の世界」と「募るお酒の仕事への思い」

Q:イタリアレストランというと、イタリアワインをイメージしますが、ぶどう品種やワイナリーなど覚えるのは大変でしたか?

そこまで、大変と思ったことはなかったですね。というのも、実は、その当時、そのお店に置かれていたワインが、「イタリアワインの王道」とも呼べるくらいの有名なものが多かったので、色々調べればすぐに情報が手に入るし、よく目にする名前の銘柄もあって、楽しかったですね。また、今ではなかなか飲めないハイグレードなワインも扱っていて、とても勉強になりましたし、いい経験をさせてもらいました。

Q:その当時は、ワイン以外のお酒も勉強されたんですか?

(平林さん):そうですね。その当時の会社の様々な業態のお店で働かせていただいたこともあって、幅広くお酒を知ることができました。というのも、もともとイタリアンレストランの母体となる会社が、カフェを運営しおり、そのカフェの新店で働くこともありました。その時は、コーヒーの淹れ方はもちろんのこと、メニューにあったカクテルも作れるようになりました。そこで、幅広くドリンクに関する経験や知識は得られたのかなと思います。ちょうどその時、「試飲会」に参加し始めるようになり、ワインを中心にお酒をより勉強するようになりました。そうしたことで、お店のドリンクメニュー作りにも生かせることができるようになりました。

Q:居酒屋・レストラン・カフェなどの色々な飲食店を経験して、お客様への接し方に変化はありましたか?

(平林さん):そうですね。お店のテイストごとに、接客の形は変えられるようになりましたね。当然、年齢や経験を経れば、それぞれのお客様やシチュエーション、お店の雰囲気や自分の個性に合わせたサービス提供ができるようになっていくと思いますが、まずは、「自分がどうしたいのか?」と「お客様がどんなサービスを期待しているのか?」を考えてサービスしていくことが大切なのかなと思います。

思いがけない「本屋さん」への転身

Q:その後から恵比寿今市に至るまでのお話を教えていただけますか?

(平林さん):驚くかもしれないんですが、実は、「本屋」に就職しました。本が好きだったということもあり、これまでの飲食の仕事とは違う本屋を選びました。その時の担当していた書籍の部門は、ビジネスから社会、人文的な真面目なジャンルの書籍からちょっと「大人な」ものまで、幅広いジャンルを扱っていました。飲食店では得られない「情報」がたくさんあって、面白かったです。残念ながら、お酒の雑誌や書籍の担当ではなかったんですが、お酒のことを知っていたこともあり、お酒の書籍の担当の相談にはのっていました。あとは、その本屋さんは、ジャンル関係なく、担当個々人で、「フェア」を持てたんですね。例えば、「秋の〇〇フェア」などの特集ですね。そのフェアで、自ら企画して、「お酒特集」を組んだりしました。秋になれば、ワインのボージョレーの書籍や記事が増えるので、「ワイン特集」を組んだりして、ニヤニヤしながら、「フェア」のエリアを作っていました。そうするうちに、「飲食の現場に戻りたい…。」と思うようになりました。

そこで、以前勤めていた会社のスペインバルのお店で働かせていただいて、スペインワインについても勉強させてもらいました。このタイミングで、ワインの魅力に惹かれていきましたね。それと同時に、日本酒にも興味を持つようになり、タイミングよく「恵比寿今市」で働けるチャンスをいただき、今にいたっています。

「恵比寿 今市」の今後のお酒の取り組み

Q:これから「恵比寿 今市」でお酒に関して取り組んでいきたいことは何かありますか?

(平林さん):日本酒は、「銘柄の幅を広げていくこと」「様々な温度での味わいの変化を楽しみつつ、今市の料理と合わせてもらえるようなサービス」をより追求していきたいなと思っています。まだまだ全国には、存じ上げない蔵元さんや銘柄があるので、もっと幅広く知りたいと思っていますし、その上で、「今市の料理に合う」「今市らしい」「平林らしい」お酒を取り扱っていきたいなと思っています。

また、日本ワインは、各ワイナリーさんの生産本数等の兼ね合いもあり、実は、メニューに、固定で載せるのが難しいワインもあったりします。なので、ワインが好きな人の選択肢の一つとして、「恵比寿今市」が選ばれるような取り組みを積極的にしていきたいですね。また、昨年、私がソムリエの資格を取得したので、少しでも、その時に学び、実践してきたことが、お客様のワイン選びや飲む楽しみに繋がっていってもらえたらと思います。

Q:では、これから恵比寿今市で扱ってみたい日本ワインはありますか?

(平林さん):そうですね、具体的にあるわけではないんですが、「今ワイナリーが増えている地域」「ワイン特区」で、小規模だけど、生産が増えているワイナリーのワインは扱ってみたいと思いますね。世の中で、まだ多くの人に認知されていないワインなどは、「恵比寿今市」で、少量ずつでも提供できるようにしていきたいです。そういったことを考えても、イベントなどを通して、多くの人にそういったワインを飲んでもらう窓口になれるといいかなと思います。

Q:最後に、今回53日のイベントの「石岡酒造」さんの日本酒のおすすめの楽しみ方を教えていただけますか?

(平林さん):石岡酒造さんの日本酒は、食中酒として、オールマイティーに召し上がっていただくことができるお酒です。なので、日々の晩酌などで楽しめるお酒ばかりなので、あまり、食べ合わせなど難しく考えずに色々な食べ物と一緒に召し上がっていただければと思います。また、5月3日に、石岡酒造さんと行わせていただく「茨城の日本酒と料理を楽しむ会」では、茨城の旬な食材を使った濵野の料理と一緒に召し上がっていただければ、より楽しんでいただけるかなと思いますので、ご都合あれば、ご参加いただければと思います。また、これをきっかけに、石岡酒造さんをはじめとした茨城のお酒や、茨城の食材、そして「恵比寿今市」を感じてもらえればいいなと思います。

【記者からの一言】
取材ありがとうございました。これまで私も何度も「恵比寿 今市」でお食事をさせていただき、色々なお酒を飲ませてもらいました。どのお酒も、平林さんが「選んだ理由」やそのお酒の「バックグラウンド」を丁寧に説明してもらえるので、「へえ」と納得と感心をしながら、飲むことができるのも、紆余曲折経て、お酒を提供したからこそなんだと思いました。また、接客の際、絶妙のタイミングで話しかけてもらえるのも、色々な業態のお店を経験して、様々な層のお客様へのおもてなしをしてきたからこそだと思うと、また「恵比寿 今市」に行ってみたくなります。

5月3日に『石岡酒造』×『恵比寿今市』の「茨城の日本酒と料理を楽しむ会」開催!

SAKE RECO協賛で、茨城県石岡市にある筑波山でもお土産で人気の『筑波』や茨城県内のみだった流通の『酔鶴』など、数多くの日本酒銘柄を造り続けている『石岡酒造』と住所と電話番号を非公開にしている隠れ家的な大衆割烹の『恵比寿今市』が、「茨城の日本酒と料理を楽しむ会」のコースイベントを開催します。

茨城の食材と旬の素材を折込み、石岡酒造の日本酒に合うメニューをご用意致します。
【メニュー】:お料理5品〜6品目 (前菜〜デザート)
【日本酒】
「筑波 吟醸酒 薫風の峰」、「酔鶴 純米吟醸」、「筑波 特別純米 ピュア茨城 蔵なま」、「酔鶴 特別純米」、「筑波 純米吟醸 祥雲の峰」、「筑波 大吟醸生 つくばねの雫」
【開催日】:5月3日(金) 憲法記念日
【時 間】:17:00〜20:00  (ラストオーダー19:30)
【場 所】:恵比寿 今市 ※場所の詳細は、ご予約いただいた後に、メールにて、ご案内致します。
【定 員】:16名様 ※ご予約は、下記の予約フォームよりご予約ください。定員になり次第、締め切り。
【料 金】:お一人様 12,000円 (税込) ※お支払いは、イベント時前払い。クレジットカード可。

【予約ページはこちら】

5月3日開催!『石岡酒造』×『恵比寿 今市』の「茨城の日本酒と料理を楽しむ会」予約ページ

 

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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