健康にいい赤ワインの適量と飲み方とは?
赤ワインは、ポリフェノールが含まれていることから、以前から多くの人に愛飲されてきました。ただ、飲みすぎてしまうと健康にいいどころか、健康を害してしまいかねません。そこで、今回は、健康にいい赤ワインの適量と飲み方、そしてどんな身体へのいい影響があるのかをまとめてみました。
赤ワインが健康にいい理由とは?
赤ワインが健康にいいのは、以前から多くの人が言っており、みなさんも耳にしてきたことと思います。例えば、1990年代の「赤ワインブーム」では、多くのワインが輸入され、消費されてきました。では、何故、赤ワインが健康にいいと言われるのでしょうか?
今回は、2018年に発表された「Contribution of Red Wine Consumption to Human Health Protection」の論文を元にご紹介して行きましょう!
赤ワインに含まれる抗酸化物質
赤ワインには、心臓の血管機能の改善に役立つ「抗酸化物質」が多く含まれています。これは、ベリー系の果物などに多く含まれ、ワイン以外にも、「ジャム」や「ジュース」などにも豊富に含まれています。
この抗酸化物質によって、血管系の心疾患や癌、糖尿病のリスクを軽減する働きがあります。赤ワインには、この他にも、高血圧症患者の血圧を下げることも明らかにされています。(引用: Resveratrol requires red wine polyphenols for optimum antioxidant activity)
赤ワインに含まれる抗酸化物質には、様々な種類があります。
〜フラボノイド ラムネチン〜
このフラボノイドラムネチンは、赤ワイン以外にも、紅茶や果物、野菜などにも含まれています。
ワインに含まれる「ポリフェノール」
赤・白ワインには、「ポリフェノール」が含まれていますが、特に、赤ワインに多くポリフェノールが含まれることが各実験などでは、明らかにされています。同容量に置いて、白ワインにはポリフェノールが100mg含まれているのに対し、赤ワインでは、1000mg含まれているという実験結果もあるくらいです。(引用: Alcohol and cardiovascular diseases.)
この赤ワインに含まれているポリフェノールは、「レスベラトロール」、「アントシアニン」そして「タンニン」があります。
〜レスベラトロール〜
特に、「レスベラトロール」は、多くの研究者が、その効能を明らかにするために、研究・実験を重ねています。そもそもレスベラトロールは、健康長寿にいいとも言われる成分で、これは、カロリー制限することで「サーチュイン遺伝子」という長寿遺伝子の状態を「ON」にすることが知られています。
それだけでなく、メタボ対策やED、女性の更年期障害への効果も期待されています。最近では、アメリカなどで糖尿病への臨床試験も行われるようになってきました。(※様々な研究で対象となっているのは「トランス型レスベラトロール」です。)
・糖代謝改善
・抗炎症作用
・血液脂質の正常化 など
このトランス型レスベラトロールを最も多く含む赤ワインの品種は、「ピノ・ノワール」とオーストリアの土着品種の黒ぶどう「ザンクト・ラウレント」の2種類とも言われています。(引用研究:trans-Resveratrol and trans-Piceid Content of Hungarian Wines)
〜マルビジン(アントシアニン)〜
マルビジンは、赤ワインに含まれるポリフェノールの代表的なものの一つ。心臓の虚血状態と血流再開でのダメージに対して、保護機能を引き出し、心臓の正常な機能を保つ働きを高めてくれます。
〜タンニン〜
タンニンの一つである「エラジタンニン」という物質は、実は、「オーク樽」からも浸み出て、赤ワインに融合します。このエラジタンニンは、下記のような健康への効果があります。特に、オーク樽から出た「エラジタンニン」は、赤ワインの持つ身体へのプラスの効果をより高めてくれることも明らかになりました。(引用:Cardioprotective and hepatoprotective effects of ellagitannins from European oak bark (Quercus petraea L.) extract in rats)
・代謝機能
・肝機能 など
健康に良い「ワインの適量」とは?
多くのネットの記事でも「適量」について議論されています。そこで、ワイン適量についての研究をご紹介しましょう。
〜Montsko氏(2010年)〜
「ピノ・ノワール」とオーストリアの土着品種の黒ぶどう「ザンクト・ラウレント」の2種類を女性:約200mL(グラス1〜2杯)・男性:約300mL(グラス2〜3杯)の摂取で、がんと心疾患のリスクが低減することを明らかにしている。
(引用研究:trans-Resveratrol and trans-Piceid Content of Hungarian Wines)
〜Platina氏(2014年)〜
被験者を2グループに分けて、1つのグループには赤ワインを0.2L(200mL)飲んでもらい、もう一つのグループには、赤ワイン以外のアルコール飲料を飲んでもらいました。その結果、飲んで直後の身体の反応にほとんど違いはありませんでした。
そのあとの結果では、他のアルコール飲料を飲んだグループよりも、赤ワインを飲んだグループの方が、血圧と心拍数、心室の再分極(心臓が興奮から覚める状態)の落ち着きが見られた。
〜松本氏(2014年)〜
成人の男女を対象として、適量の飲酒が心疾患に与える「ポジティブな影響」について、実験しました。その結果、0.15Lのワイン、0.33Lのビール、0.03Lのハードリカーを飲むことで、虚血性心筋梗塞や心筋症とその致死率のリスクが低下したことがわかった。
〜Vilahur and Badimon(2013年)〜
長期間での毎日の赤ワインの飲酒(女性:150mL、男性:450mL)は、炎症とアテローム動脈硬化を抑え、脂質代謝や酸化状態、内皮機能を改善させることがわかりました。
引用研究:Antiplatelet properties of natural products
赤ワイン一杯あたり約125mL程度だとすると、男性:200〜450mL(グラス2〜3杯分)、女性:100mL〜200mL(グラス1〜2杯分)が適量と言えるのではないでしょうか?
実際、アメリカ農務省の「Dietary Guidelines for Americans 2010」では、女性の場合は1日1杯まで、男性2杯までを推奨しています。また、イギリスの国営保険サービスでも、女性の1日のアルコール摂取量は200〜300ml、男性の場合は300〜400mLが適量としています。
赤ワインに合わせた健康に良い料理とは?
赤ワインに合わせると健康に良い料理とはどんな料理なのでしょうか?そこで、面白い研究があります。2013年にStricker氏らによって発表された「Dietary patterns derived from principal component- and k-means cluster analysiss: Long-term association with coronary heart disease and stroke.」です。
この研究では、40,011名の男女を対象に、それぞれの食生活を調べ、二つのグループに分類しました。一つ目のグループは、地中海の食文化に近いような「魚や食物繊維が豊富な食べ物、野菜、ワイン」を主に摂取しました。一方で、もう一つのグループは、アメリカのウェスタンなライフスタイルをイメージさせるような「フライドポテトやファストフード、低食物繊維の食べ物、そしてワイン以外のアルコール飲料」を主に摂取していました。
その結果、心疾患や発作のリスクを低減に至ったのは、地中海の食文化に近い「魚や食物繊維が豊富な食べ物、野菜、ワイン」でした。
この実験以外にも、「地中海食(Mediterranean diet)」が心疾患などのリスクを軽減する結果を示唆する実験も多いことから、地中海食と一緒にワインを楽しむのも良いかもしれません。
地中海食には、赤ワインに合わせやすい「オリーブオイル」や「ナッツ」、「チーズ」も含まれてることから、みなさんがワインに合わせる食べ物とほぼイメージ通りなのではないでしょうか?
まとめ
・赤ワインと合わせたい食べ物は、地中海食(EX:オリーブオイル、ナッツ、チーズなど)
・健康志向におすすめな赤ワインは、「トランス型レスベラトロール」を多く含む「ピノ・ノワール」と「ザンクト・ラウレント」
ワインは、尿酸値の上昇を抑えながら楽しめるお酒って知ってましたか?
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