【取材記事】飲食の縁と運が繋いだワイナリー創業への道

自信を持って説明したいという熱意からワイナリー創業まで

坂城葡萄醸造のヴィーノデッラガッタ坂城2017

Q:いつ頃からワイナリーの創業を考え始めたのでしょうか?

それから、レストランで、ワインをお客様にご提供するようになって、「やっぱり自分でワインを作ってみないとわからないな」ということで、2011年に葡萄栽培を始めました。実は、親戚が食用の葡萄農家をやっていて、その親戚の葡萄を作っている彼も私と年が近くて、ワインが好きだったので、一緒にワイン葡萄を作ろうということになりました。

その時、最初につくったワイン葡萄品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンです。日々の生活はというと、お昼は、葡萄畑で作業、夜は、レストラン営業という感じでした。ただ、その当時は、半分勉強ということもあったので、ワイナリーということもまでは、考えていなかったんです。

なので、まず、ワイン葡萄を作って、委託醸造をするというのが、第一目標でした。なので、最初からワイナリーという感じではありませんでした。なんとなく、10年後くらいに、ワイナリーを作れればいいなぁという感覚でしたね。そんな中、2013年ごろから信州ワインバレー構想が動き始めました。

この信州ワインバレー構想には、プロモーション部会があり、飲食店やソムリエ、酒販店、デザイナーなどを集めて、「長野ワイン応援団」を作りました。先日帝国ホテルで行われた「NAGANO WINE FES in 東京2019」もその一環として、活動しています。

その一員として、ワイナリー を応援する側として、ワイナリーさんを巡っているうちに、新しくワイナリーがどんどん出来ていく、しかも大きな規模ではなく、小さな規模のワイナリーがどんどんワイン造りに挑んで行くので、「自分も頑張ってやっていけるのかな?」ということを思い始めました。

そんなことを考えているうちに、2015年に玉村豊男さんが、アルカンヴィーニュというワイナリーで、千曲川ワインアカデミーが始めるということを耳にしました。そして、ちょうど「NAGANO WINE FES in 東京 2015」の直前に、玉村さんとお話する機会があり、その場で「千曲川ワインアカデミー行きます!」と言ったほど前のめりだったと思います。ただ、千曲川ワインアカデミーは、高い応募倍率だったのですが、幸いにも受講することが出来ました。

アルカンヴィーニュの一期生として、少しずつワインを造るという意識が芽生えてきました。あと、ワイナリを創業する資金の算段もついてきたこともあり、「いよいよ」という感じにはなりつつありました。そして、2016年3月に卒業しました。

ただ、千曲川ワインアカデミーの授業は、1年(合計:60回の授業)なので、1回の栽培や仕込みしか出来なかったので、造れる自信はこの時はまだありませんでした。なので、ワイン醸造のコンサルティングを入れて、ワイン造りを始めることを考えていました。ただ、思うようなコンサルティングの委託先が見つからず、それであれば、一緒に自分たちのワインの味わいを出していける醸造ができる人材を探すようになりました。

そんな時です。長野ワイン応援団のHPに、アメリカからメッセージが送られてきました。そのメッセージは、アメリカ在住の日本人で、カリフォルニアでワインを12年間作っていたという女性からでした。その内容は、「家族でアメリカから日本に戻るので、もし可能であれば日本でワインを作りたい。そちらに長野県でワイン醸造の求人募集はありますか?」というものでした。

それを見た事務局が、「うちの応援団長がちょうどワイナリーを作ろうとしている」という旨を伝えてくれ、そして、彼女が一時帰国するタイミングで、坂城まで来てもらうことになりました。その時は、私から「こういう場所で、こんなことをやりたい」と熱意を伝えて、彼女は、一度アメリカに帰国しました。そのあと、家族で話し合った結果、うちに来てくれることになり、実際にワイナリーの創業に向かっていきました。

このワイナリーの創業までを考えてみると、一生懸命走っていれば、なんとかなるのかなって思います。

自社ワイナリーでの醸造

Q:一番最初に、自社のワイナリーで醸造したのはいつですか?

2018年ですね。2015〜2017年は、委託醸造を行っていて、その時のワインは、販売するのではなく、レストランでお客様にご提供していました。2018年からようやく自分たちのワインを作り始めました。樽での熟成も始めています。過去のものは、全て瓶詰めしているので、今、樽で熟成しているのは、2018年のものだけですが、これから少しずつ、増やしていこうと思っています。

【詳細情報】

住所:長野県埴科郡坂城町坂城9586-47
坂城葡萄酒醸造株式会社 Facebookページ:https://www.facebook.com/vinodellagatta/

次回は、成澤さんのおすすめワインの選び方と坂城葡萄酒醸造さんのワインをご紹介します!

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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