独自のギフト・お土産戦略と理想のベストビールとは⁈ サンクトガーレン有限会社 岩本伸久さん
前回のサンクトガーレン岩本さんの記事「クラフトビールの先駆け『地ビール0号』が歩んだ道」では、サンクトガーレンの歩んできたビール造りについてご紹介しました。今回は、そのサンクトガーレンのビール造りの今と今後についてお伺いしました。
サンクトガーレンのギフト・お土産のビール戦略
SAKE RECO:サンクトガーレンさんのビールは、ネットショップやイベント、酒屋、デパートといった大手ビールメーカーさんとは違った販売をされている印象なのですが、どのような意図があるのでしょうか?
岩本さん:たしかにおっしゃる通りで、大手さんのビールは、コンビニやスーパー、量販店に置いていて、みなさんが会社帰りに買いやすいようなお店にありますねよ。ただ、私たちは、「サンクトガーレンのビールが欲しい」と思っている人に買ってもらえるビールを造り、飲んでもらいたいと思っているので、あえて、ギフトを購入したいと思っている人が訪れるような百貨店で販売したり、興味を持って飲んでみたいと思ってくれる人が簡単に購入できるように、オンラインショップでの販売に力を入れています。
ただ、色々な人に認知してもらわないと私たちのビールを知っていただけないですし、飲んでいただけないので、ホームページやSNSで積極的に情報発信しつつ、有名企業やアーティストとのコラボレーションすることで、これまで私たちのことを知らなかった人たちにも知っていただき、私たちのビールを飲んでいただけるような取り組みをすることに心がけています。
SAKE RECO:「ギフト」に注力することになったきっかけは何だったのでしょうか?
岩本さん:もともとサンクトガーレンは、「ギフト」商品に弱かったんです。ただ、「ギフト」は、値段が高いとか安いとかという基準で購入するのではなく、「お渡しする相手にいかに喜んでもらうか」を考えて、選んでいただけると思ったんです。それであれば、うちのビールは、ギフトに合うと思い、力を入れるようになりました。
また、『お土産』も誰かに贈るギフトの一つだと思い付いたんですが、「神奈川」という土地は、特別なお土産がある地域ではないんですが、ビールに地元の食材を使うことで、「お土産」としても購入していただけるんではないかと思い、様々な食材や材料を使って、「お土産用ビール」も造るようになりました。例えば、『湘南ゴールド』のビールなんかはそうですね。
あと、以前、横浜高島屋さんから「Y150」という横浜開港150年の企画で販売するビールの依頼がありました。ただ、うちは、厚木でビールを造っているので、「横浜」とは書けない。そこで、かつて、横浜は、港町で、港の水は気温が高い赤道を越えても、腐らない水でなければならないほど、非常に水を大切にしていた町だったと言われていたことを知り、それがヒントになりました。そのお話を詳しく聞いてみると、横浜は、山梨の「道志川」の綺麗な水を引っ張ってきていたことがわかり、道志村まで行き、水を持ってきて、ビールを造りました。それが、『横浜XPA』というビールです。
【湘南ゴールド&横浜XPAのセット】
それでも、まだまだギフトとしてアピールするには、弱いと感じていたので、ギフトを贈る時をイメージしてみて、相手に感謝しながら選ぶお客様が浮かんで、そのままですけど、「感謝」というビールを造ったんです。今では、結婚式でも採用していただいているところも多くなってきています。そうすると、宴会場で飲んでいただくので、「もっと瓶を大きいものにして欲しい」という要望も多くあったこともあり、「一升瓶」のバージョンも造って、販売するようになりました。そしたら、その年は、これまで販売していたものよりも一升瓶の方が売れたくらい好評でした。
しかも、この「感謝」ビールを毎月購入してくれる女性がいて、そのお客様からたまたまお電話がかかってきたので、「どうして毎月購入されるんですか?」って聞いてみたんです。そしたら、「私は、お酒が大好きなので、これを持って登場するとすごいウケがいいんですよ」とおっしゃって、そういう楽しみ方もあるんだなって。最近は、ビールの色々な楽しみ方をお客様から教えてもらうことが多いですね。
【感謝ビール】
SAKE RECO:これまで、様々なギフト向けビールを造ってこられたサンクトガーレンさんの「父の日」のお父さんへのギフト向けのビールは何かございますか?
岩本さん:今回、厚木ハムの世界ランカーのウィンナーマイスターの嶋崎洋平さんのウィンナーソーセージとサンクトガーレンの「ゴールデンエール」「アンバーエール」「ブラウンポーター」のセットをご用意しています。ウィンナーとビールがこんなに合うのかっていうのを体感してもらって、楽しんでもらえればいいなと思います。
【父の日ギフト】
綺麗でたくさん飲めるビールを追求する将来
SAKE RECO:今後は、どのようなビールを造っていきたいですか?
岩本さん:私は、「綺麗で飲みやすくてたくさん飲めるビール」がベストだと思っているので、そんなビールを造りたいですね。人によっては、あまり特徴がないと言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのベストを追求して、お客様にたくさん飲んでもらえるビールを造りたいです。
(サンクトガーレンの特製ビールグラス)
あとは、新しいトレンドや技術は、積極的に取り入れていきたいです。特に、アメリカのビール造りは、技術の進歩がすごいので、その技術を取り入れて、ビール造りに活かしていきたいと思っています。例えば、一昨年、サンフランシスコで、ブリュットIPAというのが誕生しました。そして、苦味があり、ホップが強いIPA・ウェストコーストIPAやその一方で、苦味控えめで、アロマがしっかりしているニューイングランドスタイルIPAなど、どんどん新しいビール造りが出てきています。
そんなアメリカのビール造りのように、新しい技術に積極的に挑戦して、お客様がより楽しく・美味しく飲めるようなビールを造っていければと思います。
あとは、まだまだ、日本中には、ビールに活かせる素材というのがたくさんあるので、そういった素材を活かさせてもらったビールも造っていきたいですね。実際、今もそんな取り組みをしていて、例えば、山梨県の北杜市は、かつてホップの契約農家が多かったんですが、大手ビールメーカーの契約打ち切り後、その地域のホップ農家さんは減少していってしまい、「浅川定良」さんという方だけが、ホップを作り続けていたんです。しかも、作っても使い道がなかったので、捨ててたというんです。それを聞いて、「無駄にしたくない」と思って、お願いして、収穫を手伝わせてもらって、ビールに使わせてもらうようになりました。そしたら、そのあと、ホップ農家が増えて、浅川さんも喜んでくれて、私も本当に嬉しかった。
きっとこういったものっていうのが日本中に数多くあると思うので、みんなが幸せになれるビール造りを目指したいなと思います。
SAKE RECO:ありがとうございます。最後に、ビールの美味しさをより感じれる飲み方があれば教えてください。
岩本さん:「冷やしたビール」と「あたためたビール」を飲み比べてみるのがおすすめですね。実は、「冷たくする」というのは、ビールが本来持っているキャラクターを消してしまうんです。なので、暑い日には、もちろん「キンキンに冷えたビール」は美味しいですが、ジョッキやグラスを手で温めて、少し温度を上げて飲んでみると、ホップ感やアロマをより感じられると思いますので、ぜひ試してみてください。
【詳細情報】
住所:神奈川県厚木市金田1137−1
電話番号:046-224-2317
公式サイト:https://www.sanktgallenbrewery.com/
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