しじみに含まれる「オルニチン」は本当に二日酔いによいのか?
しじみに多く含まれていると言われている「オルニチン」は果たして、アルコール代謝を促し、二日酔い対策に効果的なのでしょうか?研究を踏まえて、オルニチンとアルコール代謝について、ご紹介します!
オルニチンとは?
◆ オルニチンの性質
オルニチンは、「遊離アミノ酸」の一種です。遊離アミノ酸は、血管や内臓、筋肉を構成する必須アミノ酸や非必須アミノ酸とは異なり、アミノ酸分子が単独で脂肪や血液を巡回しています。
そのため、必要な時にその力を発揮し、機動的に働きます。主なオルニチンの働きは下記の通りです。
オルニチンの働き
・肝機能改善
・成長ホルモンの分泌
・脂肪の分解
・美肌効果
◆ オルニチンを多く含む食べ物
含有量(100gあたり) | |
---|---|
しじみ | 10.7〜15.3mg |
チーズ | 0.76〜8.47mg |
キハダマグロ | 1.9mg〜7.2mg |
ヒラメ | 0.6mg〜4.2mg |
ブナシメジ | 140mg |
ブナピー | 110mg |
驚いたことに、「しじみ」以上に、「ブナシメジ」と「ブナピー」にはオルニチンが入っています。ちなみに、「ブナピー」のイメージがつかない人も多いかもしれませんので、写真を↓
参考文献
・ホクト きのこらぼ「オルニチン」:https://www.hokto-kinoko.co.jp/kinokolabo/jiten/jiten05/
・オルニチン研究会 「オルニチンについて」:https://ornithine.jp/about/
オルニチンは本当に二日酔いに効果があるのか?
では、本題です。オルニチンを使った二日酔いのサプリメントが数多く販売されていますが、果たして二日酔いに効果があるのでしょうか?それを探るために、様々な研究をご紹介しましょう。
◆ アルコール代謝の促進は期待出来ないが翌朝の目覚めが良くなる?!
16名の被験者(男性11名、女性5名)を対象に、食事を試験3.5時間前に摂取して、その後絶食絶水し、2時間の安静時間をもうけました。そして、エタノール0.4g/kg体重となるようにアルコール5%のビールを一定のペースで30分間で摂取し、その30分後にオルニチンとプラセボを摂取しました。
実験では、0、30、60、120、180分後に、「酩酊度の調査」と「呼気分析」、「片足立ち時間測定」を行いました。
その結果、どの項目についても大きな違いはないと結論付けられました。
その一方で、同様の試験デザインで、翌朝の体調(VAS:起床時の気分の状態)や睡眠の状態(OSA-MA)、気分や感情(POMS)を調査しました。すると、睡眠時間については違いは見られなかったが、「目覚め」や「疲れ」、「だるさ」、「怒り」、「混乱」の項目で、オルニチンがプラセボに比べて、有意に働いたとの結果が出ました。
そして、唾液中のコルチゾール がオルニチン摂取で改善されたことから、ストレスレベルの改善にも寄与したことが明らかになりました。
このことから、オルニチンはアルコール代謝を改善させるのではなく、飲酒での睡眠の改善と睡眠中の疲労回復の促進によって、体感が改善されたことが考えられます。
深酒はおすすめしませんが、「適量での飲酒とオルニチンの摂取」は、翌日のストレスレベルを下げて、スッキリとした朝を迎えられるのかもしれませんね。
論文:「オルニチンの抗疲労効果」
◆ オルニチンとウコンに含まれるクルクミンで翌朝がよりスッキリ?!
アセトアルデヒド脱水素酵素ALDH2の遺伝子型がND(低活性型)の13名に「クルクミン30mg」と「クルクミン30mg+オルニチン400mg」、「プラセボ」を摂取してもらい、飲酒翌朝の睡眠・疲労の度合いに関する調査を行いました。(研究内容:協和発酵バイオ)
(出典:協和発酵バイオ【オルニチン研究会サイトより拝借】)
この結果、「目覚め気分」「起床時の疲れ」「起床時のだるさ」に有意な違いが見られたという明らかになりました。翌朝の体の重さやだるさが気になる場合は、「クルクミン+オルニチン」が含まれる食事やサプリメントを摂取した方が良さそうです!
ちなみに、私は、翌朝に10km程度のランをするのが習慣なので、お酒を飲んだ時はクルクミンが含まれている「カレー」や「たくあん」、オルニチンが含まれるブナシメジなどのキノコ類を食べるようにしています。
まとめ
1.オルニチンには、アルコール代謝を促進させる効果は期待できない
2.オルニチンで、翌朝の疲れやだるさを改善する効果がある
3.オルニチンとクルクミンの組み合わせが「疲れ」と「だるさ」を軽減し、スッキリな朝を迎えさせてくれる
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