飲酒で日本人が癌になりやすい臓器・器官とは?

飲酒による部位・臓器別の発癌性リスクを明らかにしたメタ分析とは

今回、ご紹介する研究は、飲酒による発癌性の研究を集めて、分析して結論付けた、「メタ分析」です。しかもその規模がすごいんです。1956年〜2012年までの572の研究と486,538のケースから、飲酒による部位・臓器ごとに発癌性リスクを明らかにした研究です。

この研究では、世界で発生している病気や怪我の4.5%にもなり、毎年、世界規模で、250万人が死に至っている「アルコールによる癌」に絞った研究対象となっています。

このアルコールは、「肝硬変」や「てんかん」、「中毒性」、「交通事故」、「暴力」などにも影響を及ぼしているとされています。

そんなアルコールは、もちろん各国の病死原因の上位にランキングしている「癌」にも影響を与えています。この研究でも紹介されていますが、1988年に国際がん研究機関(IARC)が「口腔」「咽頭」「食道」「肝臓」「喉頭」の発癌性を発表しています。

その後、2002年、2007年には、各研究者が、結腸・直腸、乳がんへの発癌性リスクも発表するに至りました。

このように、長年に渡って研究されてきた「アルコール摂取(飲酒)と発癌性リスク」を徹底的にメタ分析したのが、「Alcohol consumption and site-specific cancer risk: a comprehensive dose–response meta-analysis」です。では、どのような研究だったのでしょうか?

飲酒による発癌性リスクが高いのは?

まずこの研究は、長年にわたる「飲酒と発癌性リスク」の572もの研究をメタ分析したものであるので、単位や分析する条件をシンプルにして行われています。その上で、飲酒と発癌性の相関関係をあらわす割合として「RR(relative ratio)」で表現しています。

これは、

【計 算】
飲酒の度合いによる発癌性リスク(light / moderate / heavy)÷ 非飲酒者・一時的な飲酒者

で計算されます。

また、3つの飲酒の度合いについても下記のように、「一日あたりのアルコール摂取量」で規定しています。

Light drinker:12.5g/day
Moderate drinker:50g/day
Heavy drinker:50g以上/day

なお、「RR」は、1よりも大きくなると、「非飲酒者・一時的な飲酒者」に比べて、発癌性リスクが高くなることを示しています。

部位・臓器LightModerateHeavy研究数
口腔・咽頭1.131.835.1352
食道1.262.234.9554
乳がん1.041.231.61118
結腸・直腸1.171.4466
喉頭1.442.6541
肝臓2.0736
1.2139
膵臓1.1939
1.1534
胆嚢2.648
黒色腫1.111.201.4114
前立腺1.041.061.0943
相関関係がない:食道腺、胃噴門、小腸、首、子宮内膜、卵巣、膀胱、脳

飲酒による発癌性リスクのポイント
・飲酒量が増えれば増えるほど、多くの部位・臓器の発癌性リスクは高まる
・特に、「口腔・咽頭、食道、喉頭」は、飲酒量が増えれば増えるほど、発癌性リスクが高くなる
・一部の臓器には、飲酒による発癌性リスクの相関関係がない

では、飲酒で発癌性リスクが下がる部位・臓器はあるのでしょうか?

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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