お酒で顔が赤くなる人が罹りやすい病気一覧

顔が赤くなってしまう理由とは?

飲酒することによって、顔が赤くなってしまうのは、「アセトアルデヒド脱水素酵素」が有効に機能していないことが原因と言われています。下記の図をご覧ください。

アルコール(図では、エタノール)は、アルコール脱水素酵素(ADH)により、毒性の強いアセトアルデヒドに変わります。このアセトアルデヒドがなかなか厄介で、これが分解されないと、交感神経が活発になり、心臓がバクバクして、脈拍が上昇し、血圧も上がってしまいます。

また、その他にも、頭痛や吐き気などを伴う場合もあります。そのため、アセトアルデヒドを分解させるアセトアルデヒド脱水素酵素(以下、ALDHと略します)が、しっかりと機能するかどうかということが非常に大切になってきます。

このALDHには、3種類あり、特に個人差が大きく、この差によって、お酒が強いか弱いかが分かれるのが「ALDH2」と呼ばれる酵素です。このALDH2は、遺伝的な要素が非常に大きいと言われています。

その背景をご紹介します!

ALDH2が遺伝的な要素が強い理由とは?

2011年に筑波大学の中村貴子氏により発表された「お酒やコーヒーなど日常的飲み物と日本人の遺伝子」の中で、面白い内容が公開されました。ALDH2の遺伝子レベルでのお酒の強い・弱いを3タイプに分けて、各都道府県ごとにどのタイプの人が多いのかを調べています。

お酒が強い県と弱い県

ALDH2の遺伝子構造解析の結果、Exon12のグルタミン酸のコドン(GAA)の配列になっている遺伝子をホモに持つ人はお酒が強いタイプ(NN型)とされ、リシンのコドン(AAA)へ突然変異した遺伝子をホモに持つ人は、お酒が弱いタイプ(DD型)とされています。

また、グルタミン酸のコドン(GAA)とリシンのコドン(AAA)の遺伝子をヘテロに持つ人は、ほどほどにお酒が強いタイプとされています。

これらを総合して、お酒が強い都道府県と弱い都道府県をランキング形式にしています。

酒に強い都道府県ベスト10

順位都道府県名遺伝子頻度強い
NN
ほどほど
ND
全く飲めない
DD
1秋田0.87676(%)23(%)1(%)
2岩手0.84573234
2鹿児島0.84576204
4福岡0.84370291
5栃木0.82070246
6埼玉0.81368275
7北海道0.80566295
7沖縄0.80566295
9熊本0.80266286
10高知0.80063343

酒に弱い都道府県ベスト10

順位都道府県名遺伝子頻度強い
NN
ほどほど
ND
全く飲めない
DD
1三重0.63036(%)54(%)10(%)
2愛知0.643414712
3石川0.673454411
4岐阜0.690484210
5和歌山0.705523711
6大分0.71551418
7広島0.72749483
8大阪0.72854379
9奈良0.730573211
10岡山0.73752444

お酒が強い県と弱い県が分かれる理由

現在の人類に非常に近い形態になったのは、約30〜20万年前と言われています。この時に、ホモサピエンスが誕生したと言われています。その後、10〜3万年前になると亡くなった人を弔うことを行うようになった「ネアンデルタール人」などが登場し、ますます人類が進化していきました。

そして、4〜3万年前になるとアフリカ大陸から日本に人類が移動してきたとされています。現在では、「北海道ルート」や「沖縄ルート」、そして「対馬ルート」が説として挙げられています。

このころに、移動してきた人類は、「古モンゴロイド」といわれ、先ほどの論文発表では、ALDH2のNN型遺伝子を持っていた種類とされています。そのため、その名残なのか、古モンゴロイドが移動してきたとされている「北海道」を始点として、東日本(山梨・長野から東)の都道府県では、比較的、お酒が強い都道府県が多いことがわかります。

また、2〜1万年前には、氷河期の末期に差し掛かっていたことから、寒さを凌ぐために、南下してきて、南北に山脈が連なる長野・山梨県まで来たのではないかとも考えることが出来ます。

一方で、「沖縄ルート」や「対馬ルート」を考えても、沖縄(酒が強い県:第7位)や鹿児島(酒が強い県:第2位)などの九州地方の県が4県もランクインしていますので、これも古モンゴロイドが移動して来た先の地域であることがわかります。

(緑:N遺伝子頻度0.80以上、黄緑:0.75〜0.80、黄:0.70〜0.75、赤:0.70以下)

そんな日本では、縄文時代末期〜弥生時代に入ると、「新モンゴロイド」が移動して来ます。中国や朝鮮半島から日本に渡来したこれらの人々は、中国地方や近畿地方に移り住むようになりました。先ほどの古モンゴロイドはN遺伝子しか持っていなかった(=酒が強かった)のに対し、この新モンゴロイドは、D遺伝子(=酒を弱くする)を持っており、N遺伝子を持っている古モンゴロイドとの混血が進みました。

これによって、近畿地方から中国地方にかけて、ND遺伝子を持つ種族が多くなったと考えられているようです。また、険しい日本アルプス(飛騨・木曽・明石山脈)があったことや稲作が進み、大移動をする必要性がなかったことで、岐阜や愛知、三重などの平野が広がっている地域で、D遺伝子を持った人が多くなっていったことが考えられます。

ポイント
・北海道や九州地方の人にお酒が強い人が多い
・愛知・三重・岐阜などの中部地方の人はお酒が弱い人が多い

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

コメントする

*
*
* (公開されません)