ソムリエでありワイナリー経営者が伝えたい「ワイン」の魅力 坂城葡萄酒醸造株式会社 代表取締役:成澤 篤人さん

前回、「飲食の縁と運が繋いだワイナリー創業への道 坂城葡萄酒醸造株式会社 代表取締役:成澤 篤人さん」の第2弾です。これまで、バーテンダーを経験し、紆余曲折を経て、ソムリエから飲食店経営、そしてワイナリーの創業に至った成澤さんに、今回は、ワインの簡単な選び方やワイン造りについて聞いてみました!

ソムリエ兼ワイナリー経営者がおすすめするワイン初心者の「ワインの選び方」

坂城葡萄酒醸造で作られたカベルネ・ソーヴィニヨン55%・メルロー45%のテロワール仕上げのワイン

(上記ワイン:ヴィーノ・デッラ・ガッタ・サカキ 2017:カベルネ・ソーヴィニヨン55%・メルロー45%)

Q:ソムリエであり、ワイナリー創業をされた成澤さんが、自分でワインを選ぶのにまだ慣れていない人に、おすすめする「ワインの選び方」を教えてください。

そういう観点でいうと、「ジャケ買い」というのは、ありだと思います。まずインスピレーションで、「このラベル可愛い」で買ってみて、Webでもアプリでもいいと思うので、そのワインについて調べてみるのがいいと思います。ネット上には、たくさんのワイン情報があるので、多くの情報は出てくると思います。その情報も、「どんな品種で、どういう風に作れられているのか」という専門的な情報だけでなく、他の人が飲んだ「感想や口コミ」も出てきますので、得られる情報は幅広いと思います。

それで、実際に飲んでみて、「自分の好みに合うかどうか」を感じれば、いいと思います。例えば、飲んで美味しかった種類が、「シャルドネ」だったということをチェックしておいて、時間があるときに、「シャルドネ」をキーワードにして、検索してみると、少しずつ、色々な品種を覚えられると思います。

弊社の場合は、お料理の味わいに合わせてワインを提供させていただいているので、レストランに来ていただいて、「お任せで!」と言っていただければ、ご注文いただいたお料理に合わせて、ワインの特徴をわかりやすくご説明させてもらっています。

ヴィーノデラガッタサカキ

その時に、意識しているのは、「次にお客様ご自身でワインを購入する時の参考になるようにご説明する」ことです。例えば、「シャルドネ」を気に入っていただいたお客様には、シャルドネの品種としての情報だけでなく、「どんなお料理と召し上がると美味しいか」ということもご説明させてもらうことで、お客様がワインをご自身で選びやすくする工夫もしていますね。

ワインは、地域や品種、味わいの幅が広いので、「すぐに覚えることはできない」かもしれませんが、少しずつ、一つずつ、「キーワード」を覚えてもらって、それを次のワイン選びの時のキーワードにしていっていただくと、品種によっての味わいの違いが知れて、面白く感じると思います。

なので、ワインを難しく考えずに、ジャケ買いしてみて、少しずつ好きなものを見つけていってください。

ワインを大切な誰かと一緒に楽しむだけでいい

Q:それでも、なかなかワインに踏み出せないという方におすすめのワインの楽しみ方はありますか?

例えば、長野市では、公園などでワインフェスをやっていて、そのフェスに造り手さんに来ていただいたり、また地元の飲食店が出店したりと家族で来ても楽しめる取り組みを行っていますので、そういった気軽に参加できるワインフェスに行くのもいいかと思います。長野のワインフェスなんかでは、お子さんがブドウジュースを飲んで、そして、お父さんやお母さんがワインを楽しむというような感じのイベントなので、そういったイベントから入って欲しいなと思います。

実は、ワインって難しく感じる必要はなくて、まず「楽しい」と感じるところから入ればいいと思うんです。こういうイベントで、長野のワインを知ってもらいたいですね。というのもこれまでのワインイベントは、ホテルやレストランの華やかな場所で、開催されることが多かったんですが、今では、ホテルだけでなく、公園などでも開催されるワインフェスも多くあるので、ワインを飲む機会は、以前よりも増えたと思います。

そういったことも含めて、弊社では「楽しくワインを飲む」を構築していきたいですね。

大切な「楽しさ」とその裏側で支える「努力」

坂城葡萄酒醸造の成澤さん

Q:ワイナリーとレストランの経営で大切にしていることを教えてください。

僕は、人生自体が、「真剣と遊び」の間で生きているので、「楽しい」を、大切にしています。ただ、「楽しい」だけではなくて、楽しさの裏側で、本当に努力しないと誰も共感してくれないですし、達成感を味わいことはできないのかなと思います。

ワイン造りもお料理もそうなんですが、美味しいだけではダメで、お料理造りやワイン造りの基本ができて、それから個性を出すための工夫が大事だと思うんですね。だから、「当たり前のことを当たり前にできるところから始まって、美味しさの追求や個性の発揮をしていきたい」と思っています。

その後、醸造場を見学させていただきながら、取材を続けさせていただきました。

ワイナリーの創業話から今のワイン造りまで

(上記ワイン:シャインマスカット2018)

Q:どんな品種のワインを作られていますか?

ワインだと、「シャインマスカット」・「巨峰」・「シャルドネ」・「ソーヴィニョン・ブラン」「リースリング」・「メルロー」・「カベルネ・ソーヴィニヨン」、シードル(りんごのワイン)だと「秋映」「ふじ」「紅玉」など、計10種類以上になります。

Q:醸造時期に何名でワイン造りを行うのですか?また、どのくらいの時期から本格的にワイン造りを始めるのですか?

5名ですね。醸造で動き出すのが、「巨峰」で8月末から始まります。最後が、カベルネ・ソーヴィニヨンで10月中旬です。そのあと、シードル造りが始まるという流れですね。

Q:ワイナリー創業で苦労されたことは?

創業当初は、機材や設備にお金が非常にかかりますし、ワインができるまでに少なくとも半年は、販売できないのが何より大変です。しかも、本数も抑えながら生産をすると、より大変になると思います。ただ、どのワイナリーさんもそうだと思うのですが、数年間の据え置き期間(利払のみの期間)があり、金利が低い、政策金融公庫の「スーパーL資金」を使うことで、キャッシュフローにゆとりを持つことができるのは、助かりましたね。

もう一つ、うちのよかったことは、レストランをやらせていただいているので、自分たちが作ったワインを楽しんでもらえる場所を持てていることですね。

Q:坂城葡萄酒醸造さんのワインを購入できるところはありますか?

有り難く、「卸してほしい」とお声をかけていただいているところもあるのですが、まずこれまでレストランをやってきて、繋がりのある業者さんにしか、まだお声掛けをさせていただいていないんです。まずは、その方々にしっかりと安定的にお出しさせていただいてと思っています。ただ、そのほかにも、お声掛けいただいたのは、非常に嬉しいので、販売することができるようになったら、必ず、こちらからお声掛けさせていただくようにしています。

Q:最後に、どんなワイナリー・会社にして行きたいですか?

あとは、ワインができた時に、会社全体で、そのワインを「一緒に楽しめる」会社でありたいと思っています。一人で、楽しむというよりも、みんなで「楽しむ」を共感できる会社がいいなと思います。

取材にご協力いただいてありがとうございました!お隣のレストラン「ヴィーノ デッラ ガッタ サカキ」で、美味しい自社ワインとお料理を満喫できますので、ぜひ、足を運んでみてください!

【詳細情報】

住所:長野県埴科郡坂城町坂城9586-47
坂城葡萄酒醸造株式会社 Facebookページ:https://www.facebook.com/vinodellagatta/

【併設レストラン情報】
坂城葡萄酒醸造のワインを楽しめるお店
Vino della Gatta SAKAKI サイト:http://vinodellagattasakaki.naganoblog.jp/
予約電話番号:0268-82-2208

 

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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