癌や動脈硬化、老化に効果的なワインで作れる「ビネガー(酢)」とは?
「りんご酢」などの「ビネガー(酢)」が癌や動脈硬化、老化に繋がってしまう活性酸素による「酸化ストレス」に対する「抗酸化作用」に効果的であるということはご存知でしょうか?2016年に発表された研究を元に、「ビネガー(酢)」の効果とお酒との相性について、ご紹介します。
酸化ストレスとは?
酸化ストレスの生成
人間は、生きていく上で、酸素を取り込まなければ、生きていくことはできません。その酸素は、栄養素の分解し、細胞に行き渡るようにします。そうして、栄養素がエネルギーに代わり、生きていくことができます。
しかし、その一方で、酸化は、身体中のいたるところで起こっています。そのため、酸化によって、細胞が壊れてしまったり、傷ついてしまったりすることがあります。これを「酸化ストレス」と言います。
酸化ストレスと抗酸化メカニズムとは
そんな細胞の酸化ストレスに対して、活性酸素を除去して、正常な細胞の状態に戻そうとするのが、「抗酸化メカニズム」や「抗酸化作用」と言います。このメカニズムが働かないと、酸化ストレスが進んでしまいます。
活性酸素
活性酸素は、身体的・精神的なストレスや食生活、喫煙などによって多く生成されてしまいます。活性酸素が体の中で増え続けると、「老化」や「癌」、「動脈硬化」などの重い病になる可能性を高めてしまいます。
活性酸素による病気・関節炎
・出血性ショック
・早期老化
・パーキンソン病
・アルツハイマー病
・癌
抗酸化酵素
抗酸化メカニズムの一端を担っていて、抗酸化作用で一番最初に働くのが「抗酸化酵素」として、「グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)」と「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」、「カタラーゼ(CAT)」があります。
グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px)の働き
過酸化水素や酸化物を除去する働きを持っていて、抗酸化酵素として重要な物質。
スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の働き
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素。人間は、この酵素の活性度が高いため、寿命が高いと考えられている。
カタラーゼ(CAT)の働き
過酸化水素を「酸素」と「水」に分解することができる。また、カタラーゼは、回転効率の良い酵素としても知られている。
ビネガー(酢)の抗酸化作用をサポートする力とは
上記のように、人間は、生きていることで、体の中で、酸化し、それを抗酸化酵素をはじめとする「抗酸化メカニズム」で健康な細胞の状態を保っているわけです。
そんな活性酸素に対して、「ビネガー(酢)」が抗酸化メカニズムにどれくらい寄与するのかを示した実験・研究が、ラットを使って行われました。Süleyman Demirel Universityによる「Effects of grape wine and apple cider vinegar on oxidative and antioxidative status in high cholesterol-fed rats(2016年)」にその詳細が記述されています。
では、その実験内容と結果をご紹介していきましょう。
実験の目的
ビネガー(酢)によって、様々な効果(ダイエット効果や高血圧を抑える効果など)がありますが、今回は、酸化ストレスを抱えた高コレステロールを投与されたネズミに対して、「ぶどう」と「りんご 」のビネガー(酢)の抗酸化作用を計測するために行われました。
実験の方法
研究対象とする動物
ウィスター系アルビノラット(200g〜250g) オス54匹
研究環境
「明るい時間」と「暗い時間」が12時間で交互に変わる。室温は、24℃。
研究期間
7週間
実験の詳細
①6つのグループに分けられる。
②ラットには、朝9時と夜5時に、2.5%のコレステロール1mLとぶどうまたはりんごの1mLのビネガー(酢)を経口で7週間与え続ける
③7週間後、ラットの下大静脈の血液を採血
④その後、10分間の遠心分離を行い、「血しょう」と「赤血球」に分ける
⑤全ての血液サンプルは、-80℃で、分析するまで保存する
ラットの6分類一覧
Group | 対応方法(N=54,n=9) | コード |
---|---|---|
1 | Rat chow(control) | CNT |
2 | High cholesterol diet (cholesterol control) | CHCNT |
3 | High cholesterol diet + grape vinegar produced using surface technique | TGV |
4 | High cholesterol diet + grape vinegar produced using submerged technique | IGV |
5 | High cholesterol diet + apple cider vinegar produced using surface technique | TAV |
6 | High cholesterol diet + apple cider vinegar produced using submerged technique | IAV |
実験結果(2種類のビネガーの効力)
最初に、2種類のビネガー( “traditional” と “industrial” )での抗酸化活性度を測りました。
traditional vinegar:ワインの入ったおけの表面に、酢酸バクテリアを繁殖させて作るため、約2ヶ月〜3ヶ月間かけて、発酵過程を経る
Industrial vinegar:大量生産を目的とした生成技術で作られるため、約1日で生成することが可能。
下記が、その結果となっています。TEACとORAC共に、数値が大きいければ、抗酸化活性度が高いと判断されます。
種類 | TEAC | ORAC |
---|---|---|
TGV | 11.82±0.97 | 10.5±1.18 |
IGV | 10.44±0.72 a | 7.62±0.61 A, B |
TAV | 5.5±0.67 b | 5.89±0.88 B, C |
IAV | 4.1±0.46 b | 2.74±0.56 C |
TGV:taraditional grape vinegar(伝統的な製法で作られたぶどうビネガー)
IGV:industrial grape vinegar(産業的な製法で作られたぶどうビネガー)
TAV:taraditional apple vinegar(伝統的な製法で作られたりんごビネガー)
IAV:industrial apple vinegar(産業的な製法で作られたりんごビネガー)
上記の表から、「TGV」・「TAV」は、「IGV」・「IAV」に比べて、数値が大きいことがわかります。すなわち、「伝統的な製法」で作られたビネガーは、「産業的な製法」で作られたビネガーよりも抗酸化作用が大きいことがわかります。 実験ポイント伝統的な製法で作られたビネガーの方が、抗酸化作用が強い。
実験結果(抗酸化酵素の効力と脂質過酸化)
次に、ラットの血液から採取した抗酸化酵素である「CAT」と「GSH-Px」、「SOD」。そして、「脂質過酸化(MDA)」について分析しました。なお、「脂質過酸化(MDA)」とは、脂質の酸化反応のことをいいます。
では、ラットの血液からどんなことがわかったのでしょうか?
コード | CAT (kU/g) | MDA (nmol/g) | GSH-Px (U/g) | SOD (U/g) |
---|---|---|---|---|
CNT | 83.81±17.64 | 394.66±49.17 | 148.86±16.43 | 3513.34±536.51 |
CHCNT | 48.29±15.52a | 468.54±45.70a | 109.47±5.21a | 1058.59±333.69a |
TGV | 65.84±16.21 | 473.37±23.04 | 122.83±7.16x | 1628.01±231.53x |
IGV | 59.16±20.87 | 444.79±28.75 | 116.93±6.65 | 1610.17±279.02x |
TAV | 55.88±6.45 | 337.08±62.58x | 125.61±4.56x | 1761.72±431.97x |
IAV | 49.15±8.55 | 377.46±40.49x | 118.66±5.03 | 1856.80±363.02x |
1.脂質過酸化の低下のために抗酸化酵素が減少
CHCNTとCNTを比較してみましょう。そこから、CNTが通常の状態であるとすると、CHCNTは、脂っこい食べ物を食べ続けているような状態で、コレステロールが投与され続けています。
その結果、脂質が酸化した最終形態である脂質過酸化が増えた一方で、抗酸化酵素(CAT・GSH-Px・SOD)は消費されたことで減少しています。それは、高過酸化脂質を下げるためと考えられます。
2.ビネガー(酢)が抗酸化酵素の枯渇を防ぐ
このように、コレステロールを摂り続けると、体内にある抗酸化酵素を消費することで過酸化脂質が増えるのを防ぎます。そんな抗酸化酵素をビネガー(酢)がサポートします。ビネガーを消費することで、過酸化脂質を下げ、抗酸化酵素の枯渇を防ぎます。
特に、表からもわかるようにりんごのビネガーを摂取すると、過酸化脂質を抑えつつ、GSH-PxとSODを増やすことができます。
3.りんごが抗酸化にいい
りんごのポリフェノールは、細胞の抗酸化はもちろんのこと、抗酸化による肝臓へのダメージや血液中の抗酸化への効果があり、動脈硬化や心疾患への効果もあると考えられる。 実験の結果のまとめ抗酸化には、「りんごの伝統的な製法で作られたビネガー」がおすすめ。老化だけでなく、動脈硬化や癌への予防にも効果的。
簡単に作れるワインビネガーの作り方
実は、先ほどの伝統的なりんごのビネガーは簡単に作れちゃいます。
用意するもの
・酢(熱処理されておらず、酵素が入っているもの)
・シードル 作り方
・高温消毒した容器に、酢:シードル =1:3くらいの比率で、布を被してゴムなどで留めて、暗い場所に約2ヶ月ほど置いておく。
(保管場所は、冷蔵庫でも良い。)
おすすめのワインビネガーの飲み方
日本酒や焼酎に少し混ぜて飲んでみると、程よい酸っぱさで美味しく飲めるので、おすすめです!
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