「公務員志望」から「お酒のトータルコディネーター」に転身 リカーショップサトウ4代目佐藤栄介

SAKE RECO:その他に、お酒について、「必死になってやったこと」はありますか?

佐藤さん:蔵元さんを出来る限り回らせてもらいました。酒業界やお酒の造り方を知らなかったので、酒造りに入れてもらったり、イベントに積極的に参加して、「全てが勉強」と思い、動き回りました。幸いにも、茨城の蔵元さんの次の世代を担う方々が、同世代であったり、私がお酒の仕事に関わるのと同時期に、蔵に戻った方が多くいらっしゃったので、色々と教えていただくことができました。

SAKE RECO:ご自身で日本酒の味わいを感じ、蔵元を巡って、酒造りの現場を知ったことで、お酒の提案にも変化が出てきたのかなと思いますが、栄介さんの中で、印象に残っているお客様へのお酒のご提案はありますか?

佐藤さん:何年か前の夏だったと思いますが、あるお客様が、「今晩、鮎なんですけど、それに合う、おすすめのお酒ありますか?」と聞いて来られて…。その時は、食事との食べ合わせを質問されるお客様が少なかったので、最初は、驚き、戸惑いました。食事と合わせるシミュレーションができておらず、即答することができませんでしたが、「俺だったら、何を合わせるんだろう」と必死に考えて、ご提案したことが、今の接客やご提案のベースになっています。

その時から、お客様がどんな「シチュエーション」で、お酒を飲んでいるのかを想像するようになりました。ですので、お客様がどんなシチュエーションでお酒を楽しまれるのかを聞かせてもらいながら、その場面をイメージした上で、接客やご提案をするように意識しています。また、この接客体験から、お客様からの質問に、「大喜利」のように、いかに即答できるかに燃えるようになりました(笑)

消費者に寄り添うお酒のトータルコーディネーター

SAKE RECO:「シチュエーション」を想像する大切さに気づいたきっかけはありましたか?

佐藤さん:この「さん・あぴお」に、ショールームがあるのですが、そのオーナーさんから、「家造りは、どういう暮らしをしたいから、こんな家になる」ということを教えていただきました。その時に、自分の中で、「これって、お酒も一緒なんじゃない⁈」って思ったのが、きっかけです。

例えば、「『カツオ』と一緒に楽しむお酒と言えば、高知の『酔鯨』がおすすめ」というように、「こんな楽しみ方をするために、『どんなお酒』がいいのか?」を考えるようになりましたね。そう考えると、お酒を楽しむお客様は、「お酒の楽しみ方」を知っている「お酒の楽しみ方のプロ」なんじゃないかって思うようになりました。そこから、お酒のスペックだけ説明できるお酒のプロではなく、お酒のスペックはもちろん、「お酒をより楽しんでもらえるような消費者に寄り添うお酒のプロ」になりたいと思うようになりました。

お酒のスペックは、私たち酒販店では変えられないけど、よりお酒を楽しんでもらうには、「誰と」「どんな生活感で」「どんな食事と」酒を楽しみたいのかを聞いて、「お酒を楽しむ」ことを最大限に楽しんでもらえたらいいなと思います。このシチュエーションを聞くことで、「お酒の楽しみ値」は変えることができると思っています。

リカーショップサトウの佐藤栄介さんのお酒の楽しみ方

(佐藤栄介さんのお酒の楽しむ方程式のイメージ図)

SAKE RECO:お話を聞かせてもらっていて、ご自身の公務員志望から引きこもり生活からのお酒の仕事への熱意ある取り組みや厳しい状況からの会社の「日本酒」中心への店づくりと言ったように、困難な状況をプラスに変えているような印象を受けるのですが、その根っこには何があるのでしょうか?

佐藤さん:サッカーをやっていた時に身についた「『今の状況をよくしたい』と考える習慣」なのかなと思います。小中高とサッカーをしていて、高校の時は、入学当初、特別に強いチームという訳ではありませんでした。そのチームで、キャプテンをやらせてもらうことになり、「どうやったら、勝てるチームになるんだろう」と常に考えていました。その習慣は、今の仕事でもあって、私が入社する前は、会社自体、累積赤字が続いていたのですが、私なりに、「これをいい状態にするために、どうすればいいのか」を、ずっと考えていました。なので、どこに行っても、「全てが勉強」と思っていて、あらゆるものが勉強源になっています。

次回は、リカーショップサトウの酒販店としての展望について、お話をお伺いしましたので、ご紹介しようと思います。

リカーショップサトウの佐藤栄介さんをご紹介していただいた「石岡酒造」さんの記事はこちら

『チャレンジ』と『工夫』で新たな石岡酒造を追求  石岡酒造株式会社 女性蔵元:冷水貴子さん、広報・蔵人:藤井祐未さん

【詳細情報】

住所:茨城県土浦市大畑1611
電話番号:029-862-1310

公式サイト:https://www.sake-ibaraki.com/
Facebook:https://www.facebook.com/liquor.shop.sato/
Twitter:https://twitter.com/sakezuki_a_chan
Instagram:https://www.instagram.com/lss_eisuke/

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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