飲み過ぎで腸内環境が崩れるのを抑える乳酸菌とは?!

飲み過ぎると腸内環境が崩れる?

腸内に存在している「腸内細菌」には、1000種類以上あると言われており、その細胞数は数百兆個以上と言われています。これらの腸内細菌は、腸内を顕微鏡で覗いた時に、お花畑のようになっていることから「腸内フローラ」と呼ばれます。

しかし、その腸内環境は、「過剰飲酒(飲み過ぎ)」によって、崩れてしまうことが各研究から明らかになっています。それは、腸内で毒性を持つ細菌が増加してしまうためです。

飲み過ぎが腸内環境を崩す理由

2015年に発表されたRush University Medical Centerの研究者による「Alchol and Intestine」には、アルコールによっての「腸内細菌叢の異常」と「腸管透過性亢進」が指摘されています。

腸内細菌叢の異常では、腸内細菌の減少やそれらのバランスが崩れる状態で、炎症性腸疾患やメタボリック症候群、喘息などの様々な疾患との関係性が示唆されています。

また、本来必要な物質や成分だけを腸管に取り込み、その他不要な物質は取り込まないようにバリアが働くのですが、腸管透過性亢進の状態になると、老廃物などの不要物も取り込んでしまい、炎症を引き起こし、各種疾病を引き起こす原因となることが示唆されています。

アルコール依存症患者に見られる腸内細菌の傾向

この研究以外にも、飲酒と腸内フローラの関連性を対象とした研究が発表されています。その一つが、2016年に発表された東北大学大学院工学研究科の中山教授とアルコール依存症の専門外来がある久里浜医療センター、そして国立がん研究センターなどの研究チームが発表した「アルコール依存症患者の腸内フローラ」の研究です。

上記の研究では、アルコール依存症患者と健常者を比較した時、前者の患者は酸素のある環境では生きていけない「偏性嫌気性菌」が減少し、「通気性嫌気性菌」が増加することが明らかになっています。腸内フローラのバランスが変化してしまうんですね。

ちょっとここで、「偏性嫌気性菌」と「通気性嫌気性菌」について、ご紹介します。「偏性嫌気性菌」は、酸素があると増殖を阻害されてしまう菌のことで、腸内細菌ではビフィズス菌、バクテロイデス、ユーバクテリウム、クロストリジウムなどがあります。

一方で、「通気性嫌気性菌」は酸素があるところで生きる菌で、乳酸桿菌、大腸菌、腸球菌などがあります。

肝機能の低下を抑えて、腸内環境も整える乳酸菌が発見?!

2020年3月に広島大学大学院医系科学研究科の杉山政則教授の研究が発表されました。(研究:Improvement of Alcohol-Poisoning Symptoms in Mice by the Oral Administration of Live Lactobacillus plantarum SN13T Cells

この研究では、ラクトバチルス・プランタルムSN13Tと呼ばれるバナナの葉由来の植物乳酸菌がアルコール摂取によって引き起こされる「肝機能の低下」と「腸内環境を整える」働きを持っていることを明らかにしました。

2つの乳酸菌

乳酸菌には、ヨーグルトやチーズなどに含まれている「動物乳酸菌」と漬物や味噌、キムチなどの発酵食品から摂取できる「植物乳酸菌」の2種類があります。

動物乳酸菌は、「胃酸」や「胆汁酸」に弱いために腸に届きにくいとされています。一方で、植物乳酸菌は元々果物や野菜などに生息しています。そして、動物乳酸菌とは対照的に「胃酸」や「胆汁酸」に強く、腸に届きやすいとされています。

また、乳酸菌には死菌だとしても、体に一定の効果をもたらしてくれるようなものも存在するとされています。

今回の研究で使用した乳酸菌「ラクトバチルス・プランタルム(SN13T)」とは

今回の研究で使用された「ラクトバチルス・プランタルム SN13T」は、バナナの葉由来の乳酸菌で、胃酸や胆汁酸への耐性が強いとされています。このラクトバチルス・プランタルムという乳酸菌の種類は、耐塩性を持つことから、日本では漬物、韓国ではキムチから摂取することが出来ます。

またこの他にも、鮒鮨や鯖鮨などにも使用されていることも明らかになっています。

では、今回ご紹介する研究では、植物性乳酸菌の生菌が人間の体にどのような影響を与えたのでしょうか?

SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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