古事記・日本書紀に登場する最初の日本酒「八塩折之酒」とは
八塩折之酒(やしおりのさけ)は、『古事記』や『日本書紀』の出雲神話に登場する日本最古のお酒です。その名前から古代の酒造りの方法がわかってきます。では、八塩折之酒はどんなお酒だったのでしょうか?
日本書紀・古事記に出てくる八塩折之酒とは⁈
「八塩折之酒」は、日本書紀や古事記に記載があります。ストーリーは、こんな感じです。
昔々、出雲という場所に、ある老夫婦と小さな娘が住んでいました。そんな老夫婦の元に、須佐之男命(スサノオノミコト)という人が現れ、老夫婦の悩みや嘆きを聞いていますと…
老爺:「実はな、ここら周辺に、毎年八岐大蛇(ヤマタノオロチ)というたいそう大きい蛇が出るのじゃ…そして、わしらの娘を食べていっては、また次の年にきて食べるんじゃ…」
老婆:「それが困ったことに、もともと私らには8人の娘がおったんじゃが、その大蛇に食べられて、残るは、この娘だけになったんじゃよ…もう悲しゅうて悲しゅうて泣いていたんじゃ」
須佐之男命:「じゃあ、わかった!その『なんとかオロチ』ってのを倒すから、その娘、娶らせてくれ!」
ということになりました。(須佐之男命って、結構強引なんだなって思います)
そして、この須佐之男命は、ある作戦を立てます。それが、「八塩折之酒」を飲ませて、酔いつぶれたら、斬り殺すというものでした。ただ、八岐大蛇は、8つの頭を持っていたので、酒をたくさん作って、8つに分けて置かないといけません。あと、体も大きかったということもあって、酔い潰すのには、かなりの強度の酒である必要があります。
そこで、特殊な酒造りを施します。それがわかるのが、「八塩折之酒」という名前です。
- 八:たくさんという意味です。日本には、「八」を使って、「たくさん」を表します。例えば、八百万の神など。
- 塩:日本酒でいう「醪の絞り汁」のことを指しているとされています。
- 折:「何度も」という意味です。
要するに、醪を作っては絞り、また新しく醪を作っては絞りを何度も繰り返して、酒を作ったということです!しかも原酒を注ぎ足していくことになるので、かなりアルコール濃度も高くなるので、それで、八岐大蛇を酔っ払わせようとしたのでしょうか?
結局、八岐大蛇は、須佐之男命の思惑通り、酔っ払い、斬りつけられたそうです。
八塩折之酒は日本酒じゃない⁈
同様のシーンが、日本書紀にも描かれています!そこにはこんな風に記されています。
衆 菓 釀 酒 八 甕
(たくさんの木の実・果物・雑穀を醸造して酒を作って、8つの甕に入れろ)
ということは、これは、お米ではなく、木の実や果物、雑穀で造られていた可能性が高いということです。
八塩折之酒の味は⁈色は⁈
何度も醸しては、注ぎ足していたのですから、かなりアルコール濃度は高かったことはわかります!また、この手法に近い作り方(酒を酒で仕込む)は、貴醸酒と似ているため、甘みが多く、コクがあったのではないかと考えられます!
色は、醸造してからどれくらい貯蔵したのかわかりませんが、もし少し貯蔵期間があったのであれば、琥珀色に近い色だったかもしれません!
それにしても、この大蛇は、勢いよく飲んだようなので、酒好きかつ甘いもの好きだったのかもしれませんw
最後に
このお話以外にも日本書紀や古事記には、お酒にまつわるお話がたくさんありますので、ぜひ、探してみてください!
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