アルコール依存症の解決の鍵は脳の『◯◯◯』の正常化!?

日本では、200〜300万人程度の潜在的なアルコール依存症患者がいるとの予測がされている昨今ですが、そのアルコール依存症の解決の鍵になるかもしれないという研究論文が、2015年に発表されました。その鍵は、脳内ホルモンのある物質でした。その物質とは?

アルコール依存症の要因とは?

アルコール依存症の決定的な要因の解明には至っていませんが、その要因の半分は「遺伝」であるという見解が多くの研究から発表されています。ただ、その他にも原因があると言われています。

1.性別

男性に比べて、女性の方が飲酒を始めてから依存症になるまでの期間が短いと言われています。その原因の一つには、血中アルコール濃度が高くなりやすいことやそれ以外の精神疾患との合併症などもあるとの見解も多くあります。

2.年齢

飲酒し始めた年齢が高くなればなるほど、アルコール依存症になる割合は低くなるという結果も出ています。中には、飲酒を始める年齢が1年遅れるとアルコールに関する問題の発生率が4〜5%程度低下することも明らかになっています。

3.環境

性別や年齢にも直接的・間接的に関連してくるのが、「環境」です。例えば、アルコール依存症患者を親に持つ人とそうでない人では、アルコール依存症に罹患する割合は4倍の違いがあると言われています。その他にも、友人関係でも早期の飲酒に繋がる可能性もあるため、アルコール依存症の罹患率を高めてしまう可能性があるようです。

ドーパミンの正常化が鍵?

◆ 研究概要

2015年にEuropean Neuropsychopharmacology誌より発表された論文「The effects of the monoamine stabilizer (-)-OSU6162 on craving in alcohol dependent individuals」で、アルコール依存症の解決の糸口に「ドーパミンの正常化」がなり得るということが発表されました。

この研究では、スウェーデンのアルコール依存症患者56名(男女)を対象にして行われました。なお、このアルコール依存症患者は、飲酒の際にワイン1本分(アルコール量に換算すると70〜80gに相当する)のお酒を飲みます。

実験方法は、アルコール依存症患者に最低4日間の禁酒に取り組んでもらいました。そして、患者の半数にドーパミンの数値が安定する薬剤「OSU6162」を2週間服用してもらいました。一方で、残りの患者には同じ期間でプラセボ(偽薬)を服用してもらいました。なお、この2週間は飲酒可能としました。

◆ 研究結果

実験終了日に、被験者が好きなお酒を飲んだ際、プラセボを服用していた被験者と比較して、「OSU6162」を服用した被験者はそのお酒を美味しいと感じない傾向にあったことが明らかになりました。

その後のアルコールを飲みたいという欲求も強くないことから、ドーパミンをコントロールして正常化させることで、アルコール依存度合いを抑えること作用を示唆しました。 実験からわかることドーパミンの正常化がアルコール依存に対して有効である

上記のように、「ドーパミン」と「アルコール依存」の関係性は強いことがわかるかと思います。アルコールと脳の関係についての記事も書いていますので、ご参考にしてみてください。

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SAKE RECO 編集長
日本のお酒をこよなく愛する「SAKE RECO」の編集長。特に、最近では、日本酒はもちろんのこと、「クラフトジン」や「焼酎」にどハマり中。お酒ばっかりだと太るので、「マラソン×筋トレ」は日課。

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